パナソニック(株)は、同社が提唱するIoT向けの次世代PLC技術を2018年6月にIEEE標準化協会(注1)に提案し、当該技術が2019年3月21日ドイツで開催された同協会の理事会にて、国際標準規格IEEE 1901aとして承認されたと伝えた。
IEEE 1901aは、「IoT(Internet of Things)PLC」と称する通信規格で、周波数帯域を利用状況に応じて制御することにより、通信距離の拡張および通信速度を切り替える機能を持つ、スケーラブルな通信を特長とする。
当規格は、既にIEEE 1901規格(注2)として採用されているパナソニック独自の「HD-PLC」(注3)の基本技術「Wavelet OFDM方式」(以下、標準モード)をベースに、新たに以下の機能を実現しているとのこと。
・利用通信帯域を標準モードの 2倍・4倍に広げ、2倍モードでは 500 Mbps(注4)の通信速度を可能にし、同軸線や専用線の利用を前提とする4倍モードでは、最大1 Gbps(注4)の通信速度を実現。
・利用通信帯域を標準モードから2段階で縮小(1/2倍・1/4倍)することも可能で、通信速度は低下するものの、狭い帯域にエネルギーを集中させることで、標準モードの最大約2倍(注5)の通信距離を実現。
こうした通信速度のモードを切り換えることにより、ユーザー毎のニーズにも柔軟に対応することができ、くらしのあらゆる場面で「HD-PLC」の活用が期待できるという。
同社は、利用者の生活に密着した商品やサービスの提供を通じて、日々のくらしが進化し続けより良くなる「くらしアップデート」をコンセプトに掲げている。その情報基盤として、様々なサービスプロバイダーや対応家電・設備パートナーが参画できるくらしの統合プラットフォーム「HomeX」を展開している。そして、住む人に寄り添った新しいくらしの価値を提案し続けていくためには、くらしの中にある住宅設備・家電・センサーをインターネットと常時接続を行うことが必要との考えから、今回の国際標準規格化されたIoT PLCは住空間における通信基盤技術の一つと位置づけている。また、この技術は、住空間だけでなく、ビル内や工場をはじめとした社会インフラまでをカバーする大規模ネットワークにも対応し、今後、幅広い分野への応用が期待されるという。
パナソニックは、本規格におけるIoT PLC技術のライセンス供与も行い、さらなる「HD-PLC」技術の進化を目指していくとのこと。また、HD-PLCアライアンス(注6)などの団体を通じてIEEE 1901シリーズの対応商品間の相互接続性の確保に努め、引き続きユーザーが安心して使用できるPLC商品を提供するという。
注1:米国電気電子学会(IEEE:Institute of Electrical and Electronics Engineers)傘下の通信規格に関する標準化委員会
注2:IEEE標準化協会が2010年に発行した、通信帯域100 MHz以下の高速電力線通信技術BPL(Broadband over Powerline)の規格です。
参照先:https://standards.ieee.org/standard/1901-2010.html
注3:「HD-PLC」はパナソニックが提唱する高速電力線通信方式の名称で、日本及びその他の国での登録商標もしくは商標です。なお、PLCはPower Line Communicationの略称です。
注4:500 Mbps、1 Gbpsは物理速度の理論値
注5:最大通信距離は通信環境の条件により変化
注6:高速電力線通信「HD-PLC」の普及拡大・通信互換性確保を目的として、2007年9月25日に設立
ホームページ:http://www.hd-plc.org/
プレスリリースサイト:
https://news.panasonic.com/jp/press/data/2019/03/jn190325-1/jn190325-1.html