欠陥検査に役立つ光ファイバセンサ(3)

株式会社レーザック
代表取締役社長
町島祐一

3.「材料への埋め込み性」…積層材料と光ファイバを一体化させたスマート材料

石英ガラス製光ファイバは直径0.2mm程度であり、強化プラスチック等の積層材への埋め込みによって構造材料とセンサを一体化させたスマート材料の成形が可能である。図8はコンポジット(CFRP;炭素繊維強化プラスチック)に光ファイバ歪みセンサを固着し、4点曲げ試験を行った様子である。対比的に配した歪みゲージとの相関性も確認されている。

図8 埋め込み光ファイバセンサの4点曲げ試験

【計測原理】
本計測で使用したFBG波長多重型(WDM;Wavelength Division Multiplexer)の計測原理を概説する。FBGを用いたWDMシステムの基本構成(図9)は反射光、透過光の両方を利用することができる。光源にはLED、SLD、ASEのような広帯域光源を利用する。構造モニタリングにFBGセンサを使用する場合、反射光を観測するシングル・エンド方式をとることが多い。
FBGからの波長を測定・決定する技術が計測の応答時間及び歪み・温度測定における感度を決定することになる。代表的な波長測定方法と特徴を表1に示す。

図9 FBG計測の基本原理
表1 波長測定方法と特徴
光源 受光方法 測定精度 測定速度
分光方法 分光素子
広帯域光源 光スペクトラムアナライザ 回折格子 モノクロメータ
ポリクロメータ
Ratiometric

光学フィルタ  

Tunable passband filter

波長可変フィルタ ファブリペロ、
A/Oフィルタ
波長可変光源 (分光しない)

光スペクトルアナライザは、波長領域でのスペクトル分析を行う汎用測定器で、そのスペクトルからピーク波長または中心波長を求めるものである。分光器を内蔵し、広い発光波長範囲を有する白色光源と組み合わせて、光ファイバやFBGなどの光デバイスの損失波長特性を測定することができる。
RatiometricはFBGからの反射光の内、光学フィルタを通過する波長成分とレファレンスの反射波長成分の強度の比を求める方式で、最も簡単に波長を特定することができる。強度の比を検知することで、操作的な機構が不要なため応答速度は極めて早く、信号処理部の速度が応答速度を規定する。
Tunable bandpass filterはピーク透過波長をチューニングすることのできる狭帯域のフィルタをスキャニングさせながらFBGからの反射光を検知する(図10)。このときの検出強度の変化からスキャニングのためにフィルタに加えた駆動電圧値から波長を特定する。Tunable filterとしては音響光学フィルタ、ファブリ・ペローフィルタ、FBGフィルタ(FBGをバンドパスフィルタとして用いる)などが用いられる。或いは、このフィルタを光源の直後に配置して、波長可変光源型を採る方式も多く利用されている。

図10 Tunable bandpass filterを用いた測定システム構成例

次週へつづく―