芝浦工業大学の大石知司教授(応用化学科)は、光エネルギーを利用することで従来よりも低温環境で、水素を検知する薄膜を柔軟性がある素材に形成できる技術を開発した。
次世代型の燃料電池自動車などに使われるエネルギー源として注目されている水素エネルギーは、環境にやさしい反面、爆発性が高くその取り扱いが難しい問題がある。安全に扱うためには、空気中の少量の水素濃度の変化を選択的かつ簡便に検知することが必要となる。本技術は、光エネルギーとセンサ原料塗布膜を組み合わせることで水素感応性薄膜を柔軟性のある素材上に簡便につくることを実現するもので、これにより、たとえば水素ステーションや工場などで大気中のわずかな水素濃度を検知するセンサとして活用することが可能にとなる。またこの技術は、貼付する場所や形状を選ばないフレキシブルセンサとしてフレキシブルエレクトロニクスの分野でも活用されることが期待されるという。
今回の成果としては、光エネルギーを利用し低温形成を可能としたことにより、
・厚さサブミクロンレベルの薄膜を低温形成することができる。
・通常は加熱処理により溶けてしまう有機フィルム上にもセンサを形成できる。
・センサー構成の工夫による高性能化を実現。
・形成された薄膜は、目視で色の変化を確認するとともに定量的に検知することが可能。
・また水素が無くなると元の色(無色透明)に戻る可逆性も持ち、繰り返し利用できる。
等の点を挙げている。
今回開発された技術を利用することにより、より安全に水素エネルギーを利用し、水素補填が容易にできるスタンドをより多くの場所に設置できる助けとなり。水素エネルギーを扱う工場内の水素タンクや配管に貼付することで、水素漏れを検知し、工場内の安全性を高めることへの利用も想定されるとしている。
ニュースリリースサイト:https://www.shibaura-it.ac.jp/news/2018/40180170.html