ST、ASIL-Bの機能安全性に対応、コスト効率に優れたMEMS慣性計測モジュール

 STマイクロエレクトロニクスは、3軸加速度センサと3軸ジャイロセンサを搭載した車載グレード対応のMEMS慣性計測モジュール(IMU)「ASM330LHBG1」を発表した。
 同製品には、安全性を考慮したソフトウェア・ライブラリが用意されており、機能安全性が要求されるアプリケーション向けにコスト効率に優れたソリューションを実現するという。

 ASM330LHBG1は、-40°C~125°Cの動作温度(Ta)範囲でAEC-Q100グレード1規格に準拠しているため、エンジン・ルーム付近や直射日光が当たる場所などでも使用可能である。カーナビゲーションやボディ・エレクトロニクス、運転支援システム、高度な自動運転システムなどにおいて、高い精度と信頼性を提供しする。代表的な用途として、ナビゲーション・システムの高精度測位や、デジタル式ブレ補正カメラ、LiDAR、レーダー、アクティブ・サスペンション、ドア・モジュール、V2X(車車間・路車間)通信、アダプティブ・ライト、衝撃・傾斜検出機能などに最適である。

 STの機械学習コア(MLC)とプログラム可能なステート・マシン(FSM)を搭載するASM330LHBG1は、AIアルゴリズムをセンサ内部で動作させることにより、スマートな機能を超低消費電力で提供できる。また、より動作温度範囲が低いSTの従来製品とピン配置互換性があり、レジスタ構成も同じであるため、シームレスなアップグレードが可能である。
 温度補正機能を内蔵しているため、さまざまな動作条件下で安定性を確保することができる。また、6軸分の信号を同期して出力できるため、推測航法アルゴリズムの精度が向上する。さらに、I²C、MIPI I3C、およびSPIシリアル・インタフェース、設定可能なスマート割込み処理、3KBのFIFOを搭載し、センサ・データの管理を簡略化してホスト・プロセッサの負荷を最小限に抑えることができる。

 ASM330LHBG1に用意されているソフトウェア・ライブラリは、独自に評価されて認証を取得しており、ISO 26262に準拠している。このソフトウェアと2個のASM330LHBG1を使って機能安全に準拠した冗長性を実現可能である。汎用のハードウェアをベースに組み合わせたこの方法は、SEooC(Safety Element out of Context)を満足しているため、自動車安全性レベルB(ASIL-B)(※1)までのシステム認証に対応している。このライブラリが提供するソフトウェアは、センシング・モジュールの設定機能、データ取得を開始する前に動作が正常であることをチェックする機能、およびセンシング・モジュールから出力されるデータの取得を処理する機能を備えている。また、これらの機能それぞれにエラー・コードが割り当てられており、異常が検出された場合に確認することができる。同一のセンサ2個で構成されるこのソリューションは、2つの異なるセンサ・ハードウェアから得られるデータが一致しているかどうかをチェックすることで、冗長性を確保する。

 ASM330LHBG1は現在量産中で、14リードのプラスチック製VFLGAパッケージ(2.5 x 3mm)で提供される。単価は、1000個購入時に約9.40ドル。

プレスリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001386.000001337.html