日本アンテナと金沢工大、空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム用レクテナを開発

 日本アンテナ(株)と金沢工業大学工学部 電気電子工学科 伊東健治教授の研究室では、共同研究で得られた半導体素子の技術によりWPT (Wireless Power Transfer:空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム) 用のレクテナ※の開発を進めている。

※レクテナ:マイクロ波を直流電流に整流変換するアンテナ。画像の使用例の「受電アンテナ」と「受電回路」を一体化したもの

 この度、5.75GHz帯5Wレクテナを開発し、入力電力37.6dBm(約5.7W)で88.5%の整流効率と38.9Vの出力電圧を得ることに成功した。またこの成果は2024年3月の電子情報通信学会にて発表した(1Wレクテナについては2023年9月に発表済)。

◆「空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム(WPT)について
 無線技術は情報通信の社会基盤として非常に重要ですが、昨今はエネルギーの無線技術利用にも実用化が始まっている。
 WPTは無線で電力を伝送する技術である。既に携帯電話の充電などにおいて磁界結合方式(電磁誘導方式)による実用化が進んでいるが、工場などでの省力化と生産性の向上にはIoT(センサーネットワーク)を活用した生産プロセスのデジタル化や自動化が欠かせず、今後は空間でのワイヤレス給電の本格的な実用化が期待されている。2022年5月には日本で世界初となるWPTの省令改正(5.7GHz帯など)が実施された。現在は屋内・無人環境に限定されるが、次の規制緩和では指向性制御や人体検知を用い有人環境でも使用できる可能性が期待されている。
 WPTのユースケースとして、工場や倉庫、配送センター内の各種センサー(ロボット・検査・タグ等)への給電などがある。

プレスリリースサイト(kanazawa-it):https://www.kanazawa-it.ac.jp/kitnews/2024/0524_wpt.html