ST、エッジAI機能付きモータ・ドライバ・リファレンス設計「EVLSPIN32G4-ACT」発表

STマイクロエレクトロニクスは、インテリジェントな3相モータ・ドライバ「STSPIN32G4」をベースにしたエッジAI機能付きモータ・ドライバ・リファレンス設計「EVLSPIN32G4-ACT」を発表した。
同製品は、スマート・アクチュエータの開発簡略化に貢献する。また、インダストリアルIoT向けワイヤレス・センサ・ノード用開発キット「STWIN.box」(STEVAL-STWINBX1)と直接接続することで、モータ制御や環境データのリアルタイム分析、IoT接続を組み合わせた先進的なシステムの開発を加速させるとのこと。

EVLSPIN32G4-ACTは、モータ制御システムにおけるイノベーションに、データ・サイエンスとアプリケーションを融合させることで、革新的な性能と持続可能な収益性を実現する。STWIN.boxに搭載された高品質のセンサによってアクチュエーション・エンジンの状態に関する情報を取得しつつ、高速データ・ロギング機能を活用してエッジAIと機械学習に基づく先進的なソリューション開発をサポートする。環境データと制御データを組み合わせることで、システム・エンジニアはアプリケーションの動作状況を正確に把握できるため、異常状態を特定しやすくなり、データ・ドリブンのアルゴリズムに基づいてトラブル・シューティングと性能の最適化を実行できる。

同リファレンス設計には、パワー・マネージメント回路を持つインテリジェントなゲート・ドライバとSTM32G4マイクロコントローラ(マイコン)を組み合わせたSTSPIN32G4が搭載されている。また、最大48V / 5Aの3相モータ用インバータ段および、センサ・モジュールに接続してアプリケーション構築を開始するためのソフトウェアも含まれる。これらの機能により、温度変化や大気圧、音、動き、超音波信号などのイベントにインテリジェントに対応する自律メカニズムの開発に貢献するという。

STSPIN32G4は、FA(ファクトリ・オートメーション)機器やビル・オートメーション・システム、サーボ・ドライバ、家庭用 / 産業用ロボットなど、小型かつ低消費電力のIoT機器およびインダストリアルIoT機器開発に最適。STSPIN32G4に搭載されたSTM32G431マイコンは、3相ブラシレスDCモータ制御用の周辺回路(4つの超高速コンパレータ、3つのオペアンプ、2セットのPWMタイマおよび12bit A/Dコンバータなど)を備えている。さらに、ブートストラップ・ダイオード、DC-DCコンバータ、LDO(低ドロップアウト)レギュレータも集積しており、外部回路なしでモータ電源からゲート・ドライバとマイコンに電源を供給する。

EVLSPIN32G4-ACTは、最大250Wのモータを駆動でき、12V、24V、36V、または48V電源で動作する。過熱保護、低電圧保護、過電圧保護、過電流保護機能を備えており、部品点数の削減や小型化に貢献する。ユーザは、6ステップ制御またはフィールド指向制御(FOC)を選択できるとともに、センサ付き / センサレス・ロータ位置検出、3シャント / 1シャントの電流検出も選択可能である。

STWIN.boxは、すぐに接続して使用することができ、超低消費電力STM32U5マイコン、Bluetooth®、Wi-Fi、NFCトランシーバに加え、STの幅広い産業グレードMEMSセンサを搭載している。これらのセンサには、3軸地磁気センサや、センサ内AI機能として機械学習コア(MLC)を内蔵したIMU(慣性計測ユニット)が含まれており、これらを組み合わせることで合計9自由度(DoF)の慣性センシングが可能。さらに、高性能の加速度センサ、帯域幅6kHzの3軸デジタル振動センサ、機械学習コアを内蔵した高精度2軸傾斜計も搭載している。環境センサとして、デジタル大気圧センサ、I²C / SMBusの温度センサも搭載されている。オーディオおよび超音波検出用に、デジタル / アナログMEMSマイクも搭載。

ソフトウェアには、データ・ロギングのファームウェアとソフトウェア・スイート、Bluetooth Low Energyアプリケーション、Pythonソフトウェア開発キット(SDK)が含まれている。これらのソフトウェアを代表的なデータ・サイエンス・ワークフローに簡単に統合して、エッジAIや機械学習ソリューションを設計可能である。高速データ・ロガー(FP-IND-DATALOGMC)は、モーション制御アルゴリズムからのデータと外部センサからのデータを組み合わせた、高分解能の正確なタイム・スタンプ付きデータ・セットの取得およびラベリングにより、リアルタイムのモニタリングをサポートする。

EVLSPIN32G4-ACTは、これらのさまざまな機能と包括的なサポート・ソフトウェアを活用して、STのセンシング技術と3相モータ・ドライバ技術を融合したモーション制御向けエッジAIを実現する。

EVSPIN32G4-ACTを使用することで、ユーザはメインのモーション・コントローラ側にエッジAI機能を近づけることができるため、インテリジェンスと意思決定能力を備えたIoT機器を開発可能。これにより、FA機器やスマート生活家電、スマート・アクチュエーションを必要とするアプリケーションなど、幅広い用途において、より高速かつ高効率なデータ処理とアクチュエーションを実現する。

EVLSPIN32G4-ACTは、STのウェブサイトから入手可能で、単価は約149.00ドル。STEVAL-STWINBX1の単価は、約122.00ドル。

プレスリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001354.000001337.html