ST、GaN HEMTとゲート・ドライバを集積したSiPに最大200W / 500W。

STマイクロエレクトロニクスは、GaN(窒化ガリウム)パワー・トランジスタとハーフブリッジ・ゲート・ドライバを集積したシステム・イン・パッケージ(SiP)「MasterGaN」の新製品「MasterGaN1L」および「MasterGaN4L」を発表した。 これらの製品は、ワイド・バンドギャップ半導体技術を活用し、電源設計の簡略化や最新のエコデザイン基準への対応に貢献するという。

STのMasterGaNファミリは、650V耐圧のGaN HEMT(高電子移動度トランジスタ)に、最適化されたゲート・ドライバやシステム保護機能、および起動時に電力を供給するブートストラップ・ダイオードを備えている。これらの機能を1パッケージに集積することで、GaNトランジスタの複雑なゲート駆動の設計要件に対処できる。小型のパワー・パッケージで提供されるため、信頼性の向上や部品数の削減、回路レイアウトの簡略化にも貢献する。

「MasterGaN1L」および「MasterGaN4L」は、ハーフブリッジ構成で接続された2個のGaN HEMTを内蔵している。この構成は、スイッチング電源やアダプタ、充電器の開発に最適で、アクティブ・クランプ・フライバック回路、アクティブ・クランプ・フォワード回路および、共振コンバータの回路トポロジを使える。それぞれ、MasterGaN1およびMasterGaN4とピン配置互換性がある。従来製品に比べて、新たにターンオン遅延が最適化されているため、より高周波かつ高効率で動作でき、負荷、特に共振回路トポロジを小さくできる。

入力は3.3V~15Vの信号電圧に対応し、ヒステリシスとプルダウンを備えているため、マイクロコントローラやDSP、ホール効果センサなどと簡単に接続し、直接制御することができる。また、専用のシャットダウン・ピンを備えており、システム全体の低消費電力化に貢献する。2個のGaN HEMTは、インターロック回路とのタイミングを正確に合わせているため、貫通電流を防ぐことができる。

MasterGaN1Lに搭載されたGaN HEMTは、RDS(on)が150mΩ、定格電流が10Aで、最大500Wのアプリケーションに使用可能である。無負荷時の消費電力がわずか20mWで、変換効率が高いため、スタンバイ電力と平均効率が厳しい産業向けの基準に対応できる。MasterGaN4Lに搭載されたGaN HEMTは、最大200Wのアプリケーションを対象としており、RDS(on)が225mΩ、定格電流が6.5Aである。

さらに、各製品の機能評価に使用できる評価ボード「EVLMG1LPBRDR1」(MasterGaN1L)および「EVLMG4LPWRBR1」(MasterGaN4L)も提供されている。これらの評価ボードには、GaNベースのハーフブリッジ電源モジュールが搭載されており、LLCアプリケーションで動作するようになっている。そのため、基板をゼロから設計する必要がなく、MasterGaN1LやMasterGaN4Lを使用した新たな電源システムの開発をすぐに開始できる。

両製品ともに現在量産中で、GQFNパッケージ(9 x 9 x 1mm)で提供される。単価は、MasterGaN1Lが約4.40ドル、MasterGaN4Lが約3.78ドル。

製品サイト(ST):https://www.st.com/ja/power-management/mastergan1l.html