東大と民間企業9社、スマートビルシステム実現に向けた社会連携講座

 東京大学大学院工学系研究科(以下、東京大学)、(株)関電工、(株)九電工、新菱冷熱工業(株)、(株)大気社、ダイダン(株)、高砂熱学工業(株)、東京電力ホールディングス(株)、東洋熱工業(株)、および三菱重工サーマルシステムズ(株)は、2023年11月1日に「スマートビルシステム社会連携講座」(Smart Building System Research Initiative)を共同で開設する。本講座では、カーボンニュートラルを含むグリーントランスフォーメーション(GX)の実現に建築設備の分野から貢献するため、スマートビルシステムに関する共同研究を推進し、GX実現を加速させる。また、スマートビルシステムのための学問分野の開拓や人材育成を進め、建築設備分野のエンジニアリング力の拡張と深化を図るとのこと。

 建築物の運用段階の年間エネルギー消費量は社会全体の3~4割を占め、業務用建築物におけるエネルギー消費量の大半は空調等のビルシステムに起因している。一方でビルシステムは、その運用改善による省エネルギー、再生可能エネルギー活用によるエネルギー自給率向上、デマンドレスポンスによる電力グリッドの安定化などに寄与できる。ビルシステムはGXという喫緊の社会課題の解決に対して非常に重要な役割を担っている。そしてGXを効果的に実現するには、ビルシステムのスマート化が不可欠である。室内環境や機器運転状態の高解像度なセンシングによって時々刻々の実態を把握しながら、その実態と極めて詳細なエミュレーション(デジタルツインのサイバーシステム)を共進させ、人中心の快適環境、CO2排出・コスト削減、行動変容などの、新たなサービス提供や価値創出につなげていくことが必要である。
 従来のビルシステムは一品生産であることや詳細なエミュレーションが不足していたことから、新たな価値創出に向けた検討が十分に実施できない課題があった。しかし、本講座で得られるエミュレーションを用いることで、様々なサービス・アルゴリズム開発やAI用学習データ作成が可能となり、ビルのスマート化を加速させることができる。このことは新たなビジネスを生み出す原動力になり、社会変革につながっていく。

 本講座の活動を通じて、多様なニーズに応えるスマートビルシステムの価値向上と新たな市場開拓に取り組む。そして、スマートビルシステムの新たな学術の確立と発展、スマートビルシステムを構築し、運用するための高度人材の継続的な育成と輩出を支える拠点の形成に努めるとしている。

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