帝京大学、テフロン™のケミカルサイクルに成功

帝京大学 理工学部バイオサイエンス学科 柳原尚久教授は、耐薬品性ならびに耐熱性に優れているが故にケミカルリサイクルには不適切であったテフロン™を効率良く鉱物化することに成功した。本研究成果によってフッ素系ポリマーから蛍石の主成分であるCaF2を回収することが可能となり、循環型社会の構築に向けた技術利用が期待されるという。

【研究成果のポイント】
〇化学的・熱的に非常に安定したポリテトラフルオロエチレン(PTFE、テフロン™)のケミカルリサイクルに成功。
〇従来法と比べて反応が容易で簡単。反応に必要な主な試薬は、汎用薬品である水酸化ナトリウムNaOH。
〇溶融状態にある NaOH を用いてテフロン™を分解。その分解生成物を水に溶かし、最終的にフッ化カルシウム CaF2 として回収することに成功。
〇テフロン™以外のフッ素系ポリマーも同様の方法で鉱物化に成功。

これまでにテフロン™以外のフッ素系ポリマーは、酸素 O2、過酸化水素 H2O2 あるいは過マンガン酸カリウム KMnO4 といった酸化剤を共存させた超臨界水あるいは亜臨界水を用いて分解できることが既に報告されていた。しかしながら、フッ素系ポリマーの中で最大の需要があり、最も融点の高いテフロン™(融点 321 ̊C)に関する鉱物化の研究報告はなく、今回の研究成果が初めての成功事例となるとのこと。

【論文情報】
雑誌名: Green Chemistry(英国王立化学会の論文誌、IF = 11.0)
論文タイトル: Mineralization of poly(tetrafluoroethylene) and other fluoropolymers by molten sodium hydroxide.(溶融水酸化ナトリウムを用いたポリテトラフルオロエチレンならびにその他のフッ素樹脂の鉱物化)
受理日:2022 年 7 月 22 日
DOI: 10.1039/D2GC00797E
URL:https://doi.org/10.1039/D2GC00797E

ニュースリリースサイト(teikyo-u):https://www.teikyo-u.ac.jp/topics/2022/0822