豊田合成株式会社
1.はじめに
豊田合成(株)はトヨタグループの一員として自動車部品を主軸にグローバルに事業展開しており、さらにこれまでに培った高分子・LEDの技術を活かして新しい分野での製品開発を行っている。
本稿では豊田合成が開発した「電気と力で機能する次世代ゴム“e-Rubber”」を用いて実用化したe-Rubberセンサを紹介する。
2.e-Rubberセンサ
e-Rubberセンサ(図1)は、厚み1.3㎜の柔軟素材で構成された静電容量式荷重センサである。柔らかな感触を持ちながら広いダイナミックレンジを備えている。柔軟性があるため、曲面への貼付け(図2)も可能なセンサとなっている。
基本構造は図3示すようにゴムを2枚の電極で挟んだものであり、受けた荷重に応じた静電容量の変化を計測するものである。豊田合成では、この電極間に配置するゴムについて材料開発からこだわり、性能と信頼性を兼ね備えたe-Rubberセンサを開発した。
ゴムの印加荷重に対し非線形に変形する特性に着目し、微小荷重では高感度(分解能高く)、大荷重では低感度を実現できるように材料特性をコントロールすることで人の感覚に近くなるよう、荷重帯ごとに感度を最適化することに成功している。
表1に開発したe-Rubberセンサの仕様を示す。
図4で示すように、微荷重帯(0~100N)で高い感度での検知を可能とし、高荷重帯(100~400N)では感度は低下するものの、高荷重に対しても静電容量変化を維持する。
静電容量変化量の検知分解能が0.1pFの時、荷重換算では0.2N(<20N)、 1N(<100N)、 10N( <400N )の分解能での検知が可能である。
荷重印加時と開放時に異なる出力を持つため、荷重印加の検知に用いるアプリケーションに適している。
3.アプリケーション
薄く柔軟な特徴を持つe-Rubberセンサは下記用途を想定した開発をしている。
•壊れやすいものを把持するロボットハンドでの荷重検知(図5)
食品(果物、お菓子等)、動物、植物、脆性物のハンドリング。
•人体にかかわる荷重検知(図6)
荷重や重心検知によるヘルスケア情報の収集。スポーツ練習補助デバイスへの搭載。
4.今後の展開
豊田合成ではアプリケーションの幅を広げるべくより高度な材料開発に取り組んでいる。2023年を目標に開発を進める新材料を使用することで、より薄型、より高耐久で環境特性を高めたセンサを提供予定である。材料の特性をより詳細に制御し、印加荷重に対する出力特性を自在にコントロール可能となる。例えば、より薄型の形状でダイナミックレンジの全領域にわたりリニアな直線を持つように設計することも可能となり、全レンジの分解能を安定させアプリケーション設計が容易になるといった効果が期待される。
次世代品e-Rubberセンサの表2に開発目標値、図7に印加荷重に対する静電容量変化を示す。
5.最後に
豊田合成は、本稿で解説したe-Rubberセンサの適用の範囲を広げ、スポーツ分野での活用、予防医療などのヘルスケア領域への展開を目指している。
現在、用途開発のパートナーを探索中である。
興味のある方は、是非下記問い合わせまでご連絡頂きたい。
※資料請求のみも歓迎。無料サンプルキットの提供も有(数量限定)
【適用領域(例)】
・ロボットハンド
・スポーツ関連
・リハビリ医学
・高齢者生活支援(加齢による心身衰弱状態の予防)
・生産現場
・製品への組み込み 等々
問合せ先
豊田合成株式会社
ライフソリューション事業本部 ライフソリューション第2技術部
◆問い合わせフォーム
https://www.toyoda-gosei.co.jp/contact/erubber_form/
◆e-Rubber紹介サイト
https://www.toyoda-gosei.co.jp/e-rubber/