凸版印刷(株)は、自治体の公式LINEアカウントに投稿された要望や困りごとなど「住民の声」や、エリア内に設置されたセンサが検知した温湿度や降水・降雪量などの情報を収集し、担当部署へ情報連携すると同時に、自治体内部での対応状況の一元管理と、公式LINEやウェブサイトからの情報発信を行う自治体DXソリューション「PosRe™(読み:ポスレ)」を開発した。2022年5月30日より、全国の自治体に向けて販売を開始する。
近年、行政サービスのDX化への注目が高まりつつある一方、「住民からの要望や困りごとの集約とそれらへの対応」はデジタル化が困難で、自治体職員にとって負荷の高い業務となっている。「PosRe™」の導入により、自治体職員は「アナログ業務」から解放され、また住民は使い慣れたLINEを使って自治体への要望を投稿することができるようになるという。
▮開発の背景
総務省が2020年に公表した「自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画」(※1)で「行政手続きのオンライン化」が重点取組事項の一つとして示されるなど、行政サービスのDX化への注目が高まっている。凸版印刷は、様々な自治体へ「DX化の実情」に関するヒアリングを実施した結果、「住民からの要望集約・対応業務」に代表される「アナログ業務」が職員に与える負荷が高い、ということがわかった。電話による要望のヒアリング、その後の取りまとめ、実情把握、紙媒体への記録、対処手配、といった対応の全てに人手がかかるという実態が明らかとなっている。
凸版印刷はそのような課題解決に向けて、住民からの要望の投稿・集約・対応管理・発信といった自治体業務を一元的に管理するサービスが有効と考え、自治体向けDXソリューション「PosRe™」を開発した。
▮本製品の特長
① 住民からの要望集約・対応管理・発信をワンストップで提供
住民からの要望や困りごとが自治体の公式LINEアカウントに投稿されると、「PosRe™」上で自動的に集約、担当部門の職員に通知される。案件ごとの対応状況は職員の間で共有され、必要に応じて自治体のウェブサイトや公式LINEに公開される。
② 住民のインターフェースとして普及率の高いLINEを採用
国内人口の70%以上をカバー(※2)し、メッセージングアプリとして広く普及しているLINEを、住民側のインターフェースとして採用した。これにより、住民は特別なアプリをダウンロードすることなく、自治体への要望を、画像や位置情報を添付して投稿することができ、また自治体からの情報もLINE上で入手することができる。
③ 地域内に設置のセンサを遠隔監視、タイムリーな情報収集を実現
凸版印刷が普及を推進する次世代LPWA(低消費電力広域ネットワーク)規格ZETA(ゼタ)(※3)との連携により、「PosRe™」と接続した各種センサが、オフィスや教育関連施設の温湿度、照明、二酸化炭素濃度や、豪雪地域の降雪量、獣害対策エリアでの罠作動状況などを遠隔監視する。自治体職員は現地へ赴くことなく、地域の該当個所の状況を把握できる。
▮販売開始時期と価格
販売開始時期: 2022年5月30日
システム使用料: 月額70,000円
※1 https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01gyosei07_02000106.html
※2 「LINE Business Guide 2022年1月-6月期」より引用
※3 英国ZiFiSense社が開発した、超狭帯域(UNB: Ultra Narrow Band)による多チャンネルでの通信、メッシュネットワークによる広域の分散アクセス、双方向での低消費電力通信が可能といった特長を持つ、IoTに適した最新のLPWA(Low Power Wide Area)ネットワーク規格。LPWAの規格のひとつであるZETAは、中継器を多段に経由するマルチホップ形式の通信を行うことで、ほかのLPWAと比べ、基地局の設置を少なくでき、低コストでの運用が可能な方式として注目されている。
ニュースリリースサイト(TOPPAN):https://www.toppan.co.jp/news/2022/05/newsrelease220530_1.html