IHIグループの(株)IHIエアロスペース(以下「IA」)は,九州の宇宙スタートアップ企業である(株)QPS研究所と,同社の小型SAR衛星(※1)QPS-SAR3号機および4号機(※2)の打上げをQPS研究所がIAに委託することで合意し,4月18日(月)に契約を締結した。
本衛星はQPS研究所が北部九州を中心とした日本全国25社以上のパートナー企業と一緒に開発,製造中で2022年度にイプシロンロケット6号機で打ち上げられる予定。
IAにとって商業衛星の打上げ受注は,今回が初となる。
今回IAが打上げを受注した本衛星は,JAXAによりイプシロンロケット6号機で打ち上げられる。
IAは,現在JAXAと開発中の「イプシロンSロケット」を用いて,衛星打上げ輸送サービスに参入する。今回の商業衛星打上げの受注はそれに先駆けての取り組みとなり,「イプシロンSロケット」は国のミッションの確実な打上げに留まることなく,今回の受注を弾みとし,商業衛星打上げ市場においても,民間ミッション向け輸送サービスの受注・打上げの取り組みを加速していくという。
IAは,我が国における自立的な宇宙輸送システムを確保しつつ,防災対応やビジネス目的,その他官民様々なステークホルダーが抱える社会課題の解決に,衛星打上げ輸送サービス事業により貢献していくとのこと。
※1 SAR衛星:
リモートセンシング衛星の1つで,天候・昼夜に関係なくレーダーを用いて地表を観測する衛星。 SAR(合成開口レーダー,Synthetic Aperture Radar)は,電磁波(マイクロ波)を使うセンサで,地表に向けて照射し,はね返ってきた電磁波を受信・解析することにより,地表の状態を画像化する。
※2 QPS-SAR 3,4号機概要:
QPS研究所は収納性が高く,10kgと軽量でありながら大型の展開式アンテナ(特許取得)を開発。そのアンテナによって強い電波を出すことが可能になり,従来のSAR衛星の20分の1の質量,100分の1のコストとなる高精細小型SAR衛星「QPS-SAR」の開発に成功し,現在はQPS-SAR1号機「イザナギ」,2号機「イザナミ」の2機を打ち上げ運用している。
QPS-SAR3,4号機は2号機からさらに改良を加えている。
プレスリリースサイト(IHI):
https://www.ihi.co.jp/ihi/all_news/2022/aeroengine_space_defense/1197838_3479.html