世界初*1フレーム一体成形が可能な遠赤外非球面レンズの 量産技術を開発

パナソニック(株)は、遠赤外線の透過特性に優れたカルコゲナイドガラスを材料とする遠赤外非球面レンズの量産技術を開発した。

新たに開発したガラスモールド成形工法と金型技術により低価格化(約1/2)*2を実現するとともに、回折レンズのほか、世界初*1となる接着剤不使用で高気密なフレーム一体レンズ(ヘリウムリーク試験でリーク量 1×10-9 Pa・m3/sec以下)など、さまざまな形状のレンズ製作が可能となったので、試作受注を開始する。低価格で高品質な遠赤外非球面レンズの量産を通して、遠赤外センサモジュールの普及と高性能化に貢献するとしている。

<背景>
近年、環境保全の高まりから遠赤外センサは熱検知やモニタリングによるエネルギーマネジメントの重要な役割を担っている。また、車載分野では、自動運転の需要の高まりから、可視光カメラではとらえることのできない夜間に、遠方の人物や動物を検知できるセンサとして普及が拡大している。このような状況の中、遠赤外センサは高画素化・低価格化が進んでおり、センサに使用されるレンズにも高付加価値化が求められている。

一方で、遠赤外センサのレンズの材料としては安価なシリコンが汎用的に用いられてきたが、透過率が低く高画素化に不向きであることから、画素が多くなるほど透過率の高いゲルマニウムの球面レンズが多く用いられている。しかしながら、さらに高画素化が進むと、球面レンズ単体による収差の影響が顕著となり、その対応には多くの球面レンズの組み合わせや非球面レンズが必要となるため、コストやサイズが課題となる。

そこで同社は、可視光用非球面レンズの製造で培ったガラスモールド成形技術をベースに、遠赤外光学系に適した高性能な非球面レンズを低コストで生産する技術を新たに確立した。今後は、遠赤外センサおよび遠赤外カメラを製造・販売しているお客様のご要望に沿ったレンズの試作、量産を行うことで、遠赤外センサモジュールの普及と高性能化へ貢献するとのこと。

*1 遠赤外用ガラス材料とフレーム材料のみによる接着剤等を用いない高気密なフレーム一体レンズ成形において(2022年1月27日現在、パナソニック調べ)
*2 同社従来工法比(2022年1月27日現在)

<特徴>
1. φ3~40 mmの幅広いサイズのカルコゲナイドレンズを低価格で提供可能(非球面レンズ、回折レンズ)
2. レンズ外周の保護、鏡筒への設置精度が向上する接着剤不使用でガス汚染リスクのないフレーム一体レンズを製造可能
3. センサ性能向上の実現に必要な鏡筒内の高気密化に寄与できる高気密な鏡筒タイプのフレーム一体レンズを製造可能

ニュースリリースサイト(panasonic):
https://news.panasonic.com/jp/press/data/2022/01/jn220127-1/jn220127-1.html