劣化傾向の数値化で、ヒーターの予兆保全を実現する 状態監視機器「K7TM」

オムロン(株)は、車や半導体の生産プロセスで使用されるヒーター設備の劣化傾向をスキルレスで見える化し、予兆保全を可能とする状態監視機器「K7TM」を2022年4月1日からグローバルで発売開始する。
設備の異常を予測するアプリケーションの拡充を通じて、生産工程で発生するロスを削減するとともに消費電力が大きいヒーターのエネルギーロスの最小化に寄与することで、脱炭素社会の実現に貢献するという。

製造現場では、設備の突発故障による生産停止や部品の廃棄ロス、保全員の緊急対応が工場全体の生産性に大きな影響を及ぼしていることが課題になっている。オムロンでは、2017年12月より強みであるセンシング技術と異常検出アルゴリズムをすり合せ、設備の異常状態の監視を実現する「状態監視機器」シリーズを提供してきた。これまで、モーターの異常や制御盤などの温度異常の監視、そして現場の既存設備にも容易に取り付け可能な機器を開発することで、製造現場で完結できる保全革新に貢献してきた。

今回発売する「K7TM」は、設備を稼働させながらもヒーターの適切な抵抗値*1の自動計測を可能としたことで、ヒーターの劣化傾向を数値で把握することができる。これにより、ヒーターの定期メンテナンスに伴う生産停止や、再稼働時にヒーターを高温加熱するための多大なエネルギーと立ち上げ時間を最小化する。自社の商品ラインアップ*2との連携でヒーター毎の抵抗値の変化率データを蓄積することで、ヒーターの状態に合わせた適切なタイミングでの保全活動を実現する。
さらに、本商品ではヒーター毎の電力も常時計測できるため、データの組み合わせで設備のわずかな異常兆候もとらえ、最適な状態での生産により、製品の品質維持にも貢献する。また、既存設備にも容易に導入可能なため、ヒーターの突発故障に伴うロスを最小化しつつ、生産エネルギーの高効率化で脱炭素社会の実現を加速させるとしている。

■「K7TM 」シリーズの主な特長
① 簡単後付けで、既存設備のヒーター状態を監視
現場の既存設備にも容易に取り付けが可能です。ヒーターの電圧とクランプ式電流センサにより、ヒーターの電流値を計測するだけでヒーターの劣化傾向の監視が可能になる。
② 設備稼働中に自動でヒーターの抵抗値を測定し、リアルタイムでのヒーターの劣化傾向を把握
ヒーターの抵抗値を温度制御の影響を受けず自動で測定し、変化率を算出。ヒーターの温度特性の影響を最小化する監視手法で、より高い精度でヒーターの劣化傾向を把握することができる。
③ 人に依存しない保全活動を実現
ヒーターの劣化状態をヒーター抵抗値の変化率に数値化。最適な交換時期決定に必要となる、ヒーター抵抗値の変化率のしきい値を設定することができる。これにより、人や経験に依存しない、データに基づいた最適なタイミングでの保全活動を可能とする。
④ 場所に依存しない監視環境を構築
本体表示による現場での状態監視にくわえて、タッチパネルやPLC、通信変換器を使用したネットワーク接続で、現場だけでなく事務所にいながらリモートでの状態監視も可能。
⑤ ヒーターの状態見える化により品質維持、カーボンニュートラルに貢献
設備の状態変化を従来のヒーターの温度にくわえて、電力も常時監視することで、設備の品質状態を見える化する。また、ヒーターの状態に合わせた適切なタイミングでのヒーター交換を可能とすることで、設備の再稼働時に消費するエネルギーを高効率化させ、CO2排出量低減にも貢献。

*1 抵抗値:ヒーターを長年使用していると、酸化が進みヒーターの線が細くなることで、ヒーターが断線する。これに伴い、ヒーターの抵抗値が大きくなる。ヒーターの断線は、設備の生産性に大きな影響を与える。
*2 自社の商品ラインアップ:マシーンオートメーションコントローラー、プログラマブルターミナルなど

ニュースリリースサイト(omron):https://www.omron.com/jp/ja/news/2021/12/c1209.html