スイスのu-blox AG(日本法人:ユーブロックスジャパン(株))は、全地球測位システム(GNSS)レシーバーNEO-M9V(*1)を発表した。
アンテザード推測航法(UDR、車速情報無し)*と自動車用推測航法(ADR、車速情報有り)*の両方を提供するユーブロックス初の測位レシーバーであるNEO-M9Vは、都市部などGNSS信号の受信が困難な環境でも信頼性の高いメートル級の測位精度を必要とする車両運行管理やマイクロモビリティのアプリケーションに最適という。
コスト削減と二酸化炭素排出量削減に努めている車両運行管理者は、高精度な測位データとナビゲーションデータを頼りに燃料消費量を削減している。さらに、料金請求やコンプライアンスに関連して、高精度なオドメーター(走行距離計)のデータも運行管理者にとって重要である。
マイクロモビリティ事業者は、個々の自転車やスクーターのサービスを提供するためにデバイスの位置を正確に示す必要がある。たとえば、車両の位置情報が道路の反対側を示していたとすると、ドライバーは目的地まで遠回りをしなければならなくなり、コストの追加、サービス品質の低下、大気汚染につながる可能性がある。高精度測位は、各地の規制に準拠して運用をジオフェンスするためにも不可欠である。
慣性センサによる測定を使用するUDRは、GNSS信号カバレッジのギャップを埋め、建物から跳ね返ってくるGNSS信号によって引き起こされるマルチパス効果の影響を軽減することにより、密集した都市環境でスムーズなナビゲーションを提供する。ADRは、センサ・フュージョン・アルゴリズムに車速を含めることにより、要求の厳しい環境での測位精度をさらに向上させる。
UDRとADRの両方を同一モジュールで提供することで、最大限の測位性能と設計の柔軟性を同時に実現し、利用者がそれぞれのエンドカスタマーのケースに応じた最適なソリューションを提供できるようになっている。
NEO-M9Vは、自動車と電動スクーターのいずれにも最適な動的モデルも備えている。これらの動作モデルは、推測航法ソリューションのアルゴリズムをこれらのユースケースの動作に適合させることで、位置情報の読み取りの品質をさらに向上させるとのこと。
●堅牢なu-blox M9テクノロジー・プラットフォーム上に構築
NEO-M9Vはu-blox M9 GNSSテクノロジー・プラットフォーム上に構築されている。最大4つのGNSS衛星を追跡できるため、見通し線上のGNSS衛星の数を常に最大にすることができる。SAWおよびLNAフィルター搭載により、堅牢なソリューションに必要な優れた干渉緩和効果を発揮し、製品設計を加速することで市場投入までの時間を短縮する。また、広く普及しているNEOフォーム・ファクターとの互換性により、既存の設計をアップグレードする際の移行作業が軽減される。
NEO-M9Vの初回サンプルはまもなく提供開始予定。
詳細についてはhttps://www.u-blox.com/en/product/neo-m9v-moduleを参照。
*「アンテザード自律航法(UDR:Untethered Dead Reckoning)」、測位衛星の電波受信が困難な場所で、速度パルス(車速信号)などを接続しなくても自律航法ができる技術。
*「自動車用推測航法(ADR:Automotive Dead Reckoning)」、車両走行中、トンネルなどGPSの電波が届かない位置に差し掛かった際に最後の位置から自動車の進行方向・速度から現在地を算出する技術。
*1: https://www.u-blox.com/en/product/neo-m9v-module ※URL表示先は英語
ニュースリリースサイト:https://www.dreamnews.jp/press/0000248149/