広島ガス(株)は、このたび、総務省の令和3年度「課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証」に採択され、このまちネットワーク(株)、富士通(株)および知能技術(株)とともに、LNGプラントにおける設備点検作業にローカル5Gなどを活用し、保安業務の高度化を実現する共同実証実験を2021年12月より広島ガス廿日市工場で行い、その有用性を検証する。
本実証実験では、4Kカメラおよび赤外線カメラ、近赤外線式メタン検知器より取得した動画像やデータをAI機能付きのエッジコンピューティングサーバーで分析・処理する。これらの機能を搭載した走行ロボットによる無人監視により、無色無臭である天然ガスなどのガス漏えいを検知する仕組みを構築し、分析・処理の結果から得た異常検知情報をローカル5Gで中央制御室へ高速に伝送するとともに可視化し早期に異常を把握しやすくすることで、事故防止や保安業務のさらなる品質向上を目指すという。
【 背景 】
日本のガス事業は、これまで1世紀以上に渡り、国民生活と産業活動に不可欠なエネルギーを供給する担い手として重要な役割を果たしてきた。特にガス事業の根幹となる保安の確保については、ガスの製造、供給、顧客の消費、全ての段階において、万全を期す必要がある。
広島ガスのメイン製造工場であり、宮島の対岸にある廿日市工場においては、現状でも保安レベルは高水準にあり、これは毎日の巡回とガス漏えい検査の徹底という作業員のたゆまぬ努力で維持されている。本実証実験を通して、ローカル5Gや、高性能カメラ、AI、ロボットなどの先進テクノロジーを活用して、さらなる保安業務の品質向上、巡回業務の効率化および合理化を目指す。
【 実証概要 】
1.実証場所
広島ガス 廿日市工場内LNGプラント
2.実施期間
2021年12月1日から2022年3月31日まで
3.実証実験内容
(1)ローカル5G活用モデルの創出・実装に関する調査検討(課題実証)
● 4Kカメラ、赤外線カメラ、近赤外線式メタン検知器、AI機能付きのエッジコンピューティングサーバーを搭載した走行ロボットによるLNGプラント設備の無人巡回監視およびローカル5Gでの中央制御室への高速伝送による早期異常検知
● メンテナンスを行う作業現場の動画共有にローカル5Gを活用し、中央制御室からリアルタイムで遠隔支援
● RAW画像データを入力データとしたAI学習により、設備老朽化の兆候などに関する発見精度を向上
(2)ローカル5Gの電波伝搬特性などに関する技術的検討(技術実証)
大型の金属設備やパイプラインにおけるローカル5G電波の反射・遮蔽による電波伝搬影響を実測
● 電波伝搬測定と性能評価(4.8~4.9GHz帯、屋外)
● 現行の電波法関係審査基準で定めるエリア算出法に規定されている算出式パラメーターを精緻化することで、ガス・電力および、プラント設備を有する化学工場など類似する業界への展開におけるエリア設計の効率化に貢献
4. 各社の役割
・広島ガス : 全体統括および課題実証の統括、実証実験のフィールド提供
・このまちネットワーク : 実運用および普及展開方策の検討
・富士通 : ローカル5G実証環境の構築および技術実証実験の統括
・知能技術 : 走行ロボットおよび各種カメラ、映像分析AI技術の提供
プレスリリースサイト(hiroshima-gas):
https://www.hiroshima-gas.co.jp/com/w_new/release/2021/hatsukaichi0831.htm