阪大病院で患者を乗せた自動運転モビリティサービスの実証研究を開始

大阪大学医学部附属病院とWHILL(株)は、阪大病院の外来受診の患者を目的地まで自動運転で移動させる「WHILL自動運転システム」の実証研究を開始した(共同研究代表者:大阪大学大学院医学系研究科教授西田幸二(阪大病院AI医療センター長))。西日本の病院における本システムの実証研究は阪大病院が初という。

本システムでは、パーソナルモビリティを使ってタッチパネル操作で院内の目的地まで移動することができる。本実証研究では、長距離歩行に不安のある患者さんや足腰に障害がある患者さんなどに対して院内の移動手段を提供することにより、院内の快適な移動環境を整えるとともに医療サービスの向上を図る。このような新しい技術が病院という環境で技術的そして心理的な安全面にも配慮しつつ受容されるプロセスを評価する。同時に、自動運転によりスタッフのサポートを必要とせずにご自身で目的地まで移動することで、病院スタッフの負担を軽減することも目標としているとのこと。

本取り組みは、内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の「AI(人工知能)ホスピタルによる高度診断・治療システム(注)」プロジェクトによる支援を受けて行われている。

■実証研究の概要
◇開始時期:2021年6月7日〜
◇台数:2台
◇エリア・ルート:阪大病院1階外来・中央診療棟
 ①1階正面玄関から放射線部または院内郵便局
 ②郵便局から放射線部または1階正面玄関
◇内容:患者さんをWHILL自動運転システムにより、所定の場所に搬送する。往路は運転を必要としない自動運転モードで走行し、利用終了後は無人運転により元の場所に返却。
◇対象:外来受診の患者

今後の展望について、阪大病院とWHILL社は本実証研究の結果を基に連携を深め、 WHILL自動運転システムの運用ルートを順次拡張していくことを検討しているという。
なお、WHILLは他にも国立成育医療研究センターや慶應義塾大学病院でも同様の実証実験を進めている。

(注):AIホスピタルによる高度診断・治療システム
 AI、IoT、ビッグデータ技術を用いた「AIホスピタルシステム」を開発・構築・社会実装することにより、高度で先進的な医療サービスを提供するとともに、医療機関における効率化を図り、医師や看護師などの医療従事者の抜本的な負担の軽減を実現することを目的とした内閣府のプロジェクト。

プレスリリースサイト(whill):https://whill.inc/jp/news/30486