OKIは、製造現場のなかでも特に熟練者の技術・経験を必要とする検査工程にAIを取り入れて省力化・自動化を実現する映像AIソリューション「外観異常判定システム」を開発し、6月1日より販売を開始した。
本システムはカメラで撮影した検査対象の部品・製品の高精細映像をAIで映像解析することにより、リアルタイムで製品の外観異常を自動判定する。OKI本庄工場(埼玉県本庄市)で実施した実証実験では、本システムの導入により、組立工程における作業ミスの見逃し“0”化、さらには製造工程全体の作業時間の15%削減という効果を確認した。OKIは本システムを、スマート工場を実現するManufacturing DX(注1)のソリューションの一つとして販売し、今後3年間で10億円の売り上げを目指す。
生産労働人口が減少する中、製造現場における省力化・自動化の取り組みが進んでいる。製造の各工程の中でも、組立工程における作業ミスの有無を部品・製品の外観の目視でチェックする「検査工程」は特に熟練者の技術や経験への依存度が高く、そのノウハウや技術のデジタル化による継承が喫緊の課題だった。OKIは、この課題を解決するため、検査対象の部品・製品の映像データに対し熟練者の「目」および「知(ノウハウ)」に値するAI分析を行うことで外観の目視検査を自動化する「外観異常判定システム」を開発した。
本システムは、カメラで撮影した検査対象の部品・製品の高精細映像をOKIのAIエッジコンピュータ「AE2100(注2)」で解析することにより、リアルタイムで製品の外観異常を判定し、即座に作業者に結果を通知する。判定結果を含む検査画像、製品情報などの証跡データは上位に位置する管理サーバーに蓄積し、品質管理や分析に活用することができる。ローカル5G(注3)実験試験局を備えるOKI本庄工場の通信機器製造ラインで実施した本システムの実証実験では、高精細映像をローカル5Gネットワークで伝送し、AE2100で映像解析した結果、作業ミスの見逃し“0”化とともに、製造工程全体の作業時間を15%削減する効果を実証した。従来熟練を要した目視検査工程を自動化したことで、作業者の負荷軽減効果も期待できる。OKIは引き続き本庄工場をはじめとする自社工場でのManufacturing DX導入実績・ノウハウを活かしてAIエッジ×5Gの各種ソリューションを提供し、製造業の現場力強化およびITとOT(注4)の改革に貢献するという。
機能概要
●現場端末に実装される機能
・生産管理連携
・エッジ連携(工程制御)機能
・判定結果表示
●AIエッジに実装される機能
・画像前処理:背景差分での物体検知
・画像解析※による外観異常検知
※:解析モデルは個別開発要
●管理サーバーに実装される機能
・製品情報+判定画像保存
・検査履歴、画像データの取得(WEB)
・アクセス権制御
・画像判定項目設定(DLモデル生成)
・外部システム連携(個別対応)
注1:Manufacturing DX(マニュファクチャリング・デジタルトランスフォーメーション)
注2:AE2100
ネットワークカメラや各種センサを収容してエッジ(現場)で高速ディープラーニング推論処理を行う、耐環境性に優れたAIエッジコンピューター。大容量の映像データをクラウドへ送信せずエッジでAI処理することにより、信頼性・リアルタイム性・プライバシー保護を実現。(URL:https://www.oki.com/jp/AIedge/)
注3:ローカル5G
通信事業者ではない企業や事業者が、プライベート空間に専用の5Gネットワークを構築する自営の無線ネットワーク。
注4:OT(Operational Technology:オペレーショナルテクノロジー)
プレスリリースサイト(OKI):https://www.oki.com/jp/press/2021/06/z21018.html