STマイクロエレクトロニクスは、STM32マイコン用のソフトウェア・パッケージ「FP-AI-NANOEDG1」を発表した。
無償で提供されるこのソフトウェア・パッケージは、STM32マイコン開発ボードを使った組込みAIベースの産業機器状態モニタ用システムの迅速な構築・学習・実装を可能にするという。
機械学習の高い専門性を持つSTの認定パートナー企業であるCartesiam社と共同開発したFP-AI-NANOEDG1ソフトウェア・パッケージには、センサ・データの収集や統合、およびCartesiam社の機械学習ライブラリ生成ツールであるNanoEdgeライブラリを実行するドライバ、ミドルウェア、ドキュメント、サンプル・コードがすべて含まれる。
機械学習に関する専門的なスキルを持たないユーザでも、Windows® 10またはUbuntu PCで動作するCartesiam社のAI開発環境「NanoEdge™ AI Studio」を使用することで、アプリケーションに応じた機械学習ライブラリを短期間で作成し、エクスポートできる。また、FP-AI-NANOEDG1は無償で利用することができ、STM32マイコン開発ボード上で包括的な試作開発と検証を簡単に行うことができる。ユーザのハードウェアへの実装には、Cartesiam社の標準的な料金が適用されるとのこと。
Cartesiam社と協力して確立したシンプルな手法により、STM32L562E-DKなどのSTM32マイコン開発ボードに搭載された産業グレードのセンサを使用して、監視対象の機器から通常動作と異常状態双方の振動データを取り込むことが可能。FP-AI-NANOEDG1には、センサ・データを設定して取り込むためのソフトウェアが含まれている。NanoEdge AI Studioはベンチマーク・データを分析し、5億通り以上の組み合わせから事前コンパイル済みアルゴリズムを選択して、学習と推論用に最適化されたライブラリを作成する。
FP-AI-NANOEDG1ではライブラリ用のスタブが提供され、アプリケーションに組み込む際に簡単に置き換えられる。また、学習モードと監視モードの切り替えができるため、導入後に動作モードの通常パターンを初期インストール段階と機器の耐用期間においてローカルで学習することも可能という。
FP-AI-NANOEDG1では、STM32マイコン開発ボードを使用したデータの収集や、ソリューションの生成・学習・監視が可能。また、無償開発ツールやソフトウェア、STM32開発エコシステムのサポートを活用することで、概念実証モデル(PoC)を短期間のうちに低コストで作成し、アプリケーションをその他のSTM32マイコンに簡単に移植することも可能。このソリューションは、クラウド上のAIに依存しないインテリジェント・エッジ・デバイスで、データをローカルのデバイス上で処理するため、潜在的な機密情報の管理を強化できるとのこと。
FP-AI-NANOEDG1ソフトウェア・パッケージは、現在STのウェブサイト(www.st.com)から無償でダウンロードすることができる。
STM32L562E-DKには、超低消費電力マイコン「STM32L562QEI6QU」、3軸加速度センサと3軸ジャイロ・センサを集積したiNEMO™ 6軸MEMSモーション・センサ、MEMSマイク(2個)、TFT-LCDモジュール(240 x 240カラー)、およびSTLINK-V3Eデバッガ / プログラマが搭載されている。STM32L562E-DKは、STのウェブサイト(www.st.com)または販売代理店から入手可能で、参考価格は約76.00ドル。
ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001074.000001337.html