日本板硝子は、主にプリンタ複合機(マルチファンクションプリンター)の読み取り部分であるコンタクトイメージセンサ(CIS)*2に使用されるSELFOC® Lens Array(以下「SLA*1」)の新製品「SLA 5DG」を開発し、販売を開始したことを発表した。「SLA5DG」は焦点深度*3を従来の2倍に改善し、自動光学検査機などのマシンビジョン*4向けに用途を拡大した製品とのこと。
同社が開発したSLAは、「板」形状のユニークなレンズ。一般的なレンズと比べ光学系がコンパクトで(WD*5:約20mm以下)、歪みの少ない画像を伝送することができるため、プリンタ複合機などのスキャナーに用いられている製品。SLAは、自動光学検査機のラインスキャンユニット(CIS方式)用のレンズとしてもその性能が評価され、また、CISは、従来のカメラに変わる製品として活躍の場が広がっており、AIとディープラーニングの高度化や省人化、検査規格の厳格化などにより、そのニーズは様々な領域に拡大しているという。
従来のカメラ方式に対するSLA(CIS)のメリット
・小型化・設置・メンテナンスが容易
・カメラ・照明・支持具など複数部材の設置が不要なオールインワンタイプ
・広幅対応可能
・歪みが少ない
新製品の「SLA 5DG」は、従来品に比べ焦点深度を約2倍に改善したことにより、従来のSLA(CIS)が得意としていた平面的な検査対象物(印刷、フィルムなど)だけではなく、より厚みや振動のある対象物にも対応し、CISの検査対象拡大が可能となった。例えば、PCB(プリント基板)、医薬品、食品などの製造現場のラインスキャンユニット(CIS)による製品自動光学検査での活用を想定しているとのこと。
(用語解説)
*1 SELFOC® Lens Array :SLA
*2 CIS:Contact Image Sensor、コンタクトイメージセンサー。SLA(レンズアレイ)・光源・センサーが一体となったラインスキャンユニット
*3 焦点深度(DOF: Depth of Focus)。レンズを通して対象物を見たとき鮮明な像が得られる光軸方向の範囲
*4 マシンビジョン:画像の取り込みと処理に基づいて機器を動作させる仕組み。例、自動検査機など。
*5 WD:Working Distance、ワーキングディスタンス(作動距離)。対象物に焦点が合っているときのレンズの先端から対象物までの距離
ニュースリリースサイト(NSG):
https://www.nsg.co.jp/-/media/nsg-jp/ir/press-releases/2020/08jul2020nsgreleasessla5dg_j01.pdf