薄型荷重センサの紹介

藤倉コンポジット株式会社

藤倉コンポジット株式会社は、1901年のゴム引布の製造開始から、118年間、異なる技術の複合化による製品開発とその製造を行ってきた。
今回ご紹介する薄型荷重センサは、この歴史の中で培った製造技術の応用によって生まれた、厚み0.3mm(金属板有り1.3mm※1)の荷重センサであり、2020年販売が予定されている。このセンサは、現在主流になっている3種の薄型荷重センサ、静電容量型・圧電型・抵抗型のうち、抵抗型に属するもので、その特徴は、薄型・小型・軽量に加え、1kgf未満の低荷重領域および、10kgf〜100kgfといった高荷重領域での測定を得意としていること、一般的に薄型荷重センサの課題とされる、粘弾性的挙動や、繰り返し荷重の測定間ばらつきを最小限に抑える設計としていることである。

本製品は、荷重測定によって、ものづくり全体を支援することを意図して開発されたものである。上記の特徴を生かすと、例えば生産現場での製造装置の機差の評価、製品開発で構造物に実際に掛かる荷重の確認、感覚の数値化など、通常ロードセルを設置できない狭小環境下などでの荷重測定が可能となり、その測定データを、製品評価だけでなく、日常的に様々な形で起こる荷重起因の課題解決の糸口として活用することが出来る。

昨年のセンサエキスポ2018に出展以降、上記のようなものづくりの現場で日常的に起こっている荷重現象を、簡単に数値化したいというご要望を多く頂き、製品コンセプトは、技術者が普段の測定業務と同じ感覚で、センサのみを変えれば測定できるような荷重センサとしている。センサの仕様は別表に示すが、基本的には、荷重検知を行うセンサ素子と、シグナルコンディショナのセットで、5V電源で荷重を0〜5Vのアナログ信号によって出力するものとなる。使用する際は、普段使用しているデータロガーのアナログ入力端子にシグナルコンディショナからの出力線を接続するのみで測定が可能であり、このセンサを用いることで、いままで見ることのできなかった領域での荷重測定を手軽に行えるようになる。

現在、多くのお客様に薄型荷重センサをご試用・ご評価頂いているのと、弊社内の製造設備でも、このセンサの有効性を確認しているところである。社内検証においては、荷重を加える装置の機差の評価や、その差を埋めるための対策検討に効果を発揮することを確認している。

9月11日から9月13日に東京ビックサイトにて行われたセンサエキスポ2019でも薄型荷重センサを出展し、多くの反響をいただいた。今回開発のアイテムは測定用の機器となり、それ自体の課題は、さらに高荷重および低荷重な荷重領域への対応及び、粘弾性的挙動のさらなる抑制である。

一方で、薄くて軽く、直接荷重を測れるという特徴は、IoT機器や、形状的な凹凸の影響、重量増加などを嫌う構造物での荷重測定用途と高い親和性を持つ。そのため、今後はセンサを組み込んだ機器装置の企画開発も展開して行きたい。

表1 薄型荷重センサの主な仕様 ※2※3
低荷重用センサ 大荷重用センサ
荷重範囲 10gf-500gf 10kgf-100kgf
寸法 素子 33.5mm×22.mm0×0.3mm 33.5mm×22.mm0×0.3mm
ケーブル 1.8m 1.8m
回路 46mm×29mm×12mm 46mm×29mm×12mm
定格電源 DC5V DC5V
定格出力 5V 5V
線形性 10%R.O.
定格容量 100kgf
許容過負荷 500%R.C. 500%R.C.
限界過負荷 1000%R.C. 1000%R.C.
精度 ±10% F.S.

※1 検知部上部の金属板を用いると、より正確に荷重を定測定出来る。圧力測定や、定性的な評価、検知部面内に一様な荷重がかかる場合は金属板を必要としない。
※2 一部は測定中の項目
※3 仕様は開発中のものであり、今後変更となる可能性があります。

図1 荷重センサ
図2 センサエキスポ2019のデモの様子

藤倉コンポジット株式会社
技術開発グループ 撰 隆文
TEL 048-794-2505 FAX 048-794-2618
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