エプソン、産業用途向け高精度小型リアルタイムクロックモジュール、サンプル出荷

セイコーエプソン(株)(以下 エプソン)は、デジタル温度補償水晶発振器(DTCXO※1)を内蔵した、産業用途向けリアルタイムクロックモジュール※2の新ラインアップとして、『RX8901CE』(画像)『RX4901CE』を開発し、このたびサンプル出荷を開始した。

パッケージサイズは、同社リアルタイムクロックモジュールで最小の3.2×2.5×1.0t(Max.)mmで I2C-Busインターフェイスに対応した『RX8901CE』およびSPI-Busインターフェイスに対応した『RX4901CE』をラインアップ、顧客の電子機器の高精度な計時の実現と小型化・低消費電流化に応える。

近年、IoT機器や課金装置、セキュリティ機器などの産業用途向けとして、時刻情報を基に稼働する多くのシステムやアプリケーションでは、高精度な時刻情報の保持が必要とされている。また、車載機器や屋外設置機器など、周辺温度変化の激しい環境下で使用される市場からも、高精度な時刻情報の保持が求められている。さらに、製品の改造や改ざんによる情報漏洩を防ぐためのセキュリティの重要性が高まっており、低消費電流で常に侵入を検知することが必要である。これらの背景により、さまざまな市場において、デバイスの低消費電流化・幅広い動作温度範囲・高信頼性への要望が高まっている。

新製品『RX8901CE』『RX4901CE』は、同社従来品「RX8804CE」と比較して、消費電流は0.35μA(Typ.)から0.24μA(Typ.)へ30%削減し、タイムスタンプ記録回数を1回から最大32回へ拡張した。また、従来のI2C-Busインターフェイスに加え、SPI-Busインターフェイスも用意している。

それぞれ、製品出荷時に1品ごとに時計精度を調整・保証したうえで顧客に届ける。このため、時計精度の調整が不要になり、設計の効率化・品質の向上に貢献するという。

また、同日エプソンは車載向けとしても動作温度+125℃のリアルタイムクロックモジュールのサンプル出荷も発表している。

※1 DTCXO:「Digital Temperature Compensated X’tal(crystal) Oscillator」の略で、水晶振動子の温度に対する周波数の変化を補正する機能を持った水晶発振器・発振回路。TCXOは温度変化に関わらず高精度な周波数を出力するために、温度センサの信号を基に出力周波数を補正する回路を搭載した発振器で、中でもDTCXOは水晶発振の周波数をデジタル回路で補正する方式を用いている。
※2 リアルタイムクロックモジュール:時計・カレンダー機能などを持ったリアルタイムクロックICと32.768kHz水晶振動子を一つのパッケージに内蔵した製品。これにより、発振回路設計、時計精度調整が不要になるとともに、お客様における回路基板のスペース効率を向上できるメリットがある。

ニュースリリースサイト(EPSON):https://www.epson.jp/osirase/2021/211213_2.htm