ST、高効率のUSB Power DeliveryおよびPPSリファレンス設計を発表

STマイクロエレクトロニクスは、プログラマブル・パワー・サプライ(PPS)機能を備え、USB Type-C™ Power Delivery(PD) 3.0に準拠した電源アダプタ用リファレンス設計「STEVAL-USBPD27S」を発表した。
この製品は、ケーブルが接続されていない場合に適用されるゼロ電力動作モードを備えた、小型かつ高効率の使いやすい電源アダプタ(最大27W)の開発加速に貢献する。また、PPS機能により、消費電力の削減や充電時間の短縮、熱損失の低減、および電源アダプタの部材コスト削減が可能という。

STEVAL-USBPD27Sは、完全なUSB Type-C PDコントローラを搭載したSTM32G071マイクロコントローラ(マイコン)と、最先端のPWMコントローラであるSTCH03、およびUSB Type-C保護IC「TCPP01-M12」を組み合わせている。これにより、EU CoCバージョン5 Tier-2およびUS DOEレベルVI規格における厳しい要件に対応する、高速充電USB電源アダプタを迅速に開発することができる。EU CoCバージョン5 Tier-2およびUS DOEレベルVIは、アクティブ・モード時の4点の最小平均効率および40mW未満のスタンバイ電力を実現するための規格とのこと。

STM32G071マイコンは、二次側のVBUS制御アルゴリズムや、電力効率の向上に貢献する特許取得済みの適応型同期整流用アルゴリズムなど、デジタル制御部全体を処理する。VBUS制御アルゴリズムは、USB Type-C PDおよびPPSの仕様に準拠し、ケーブル電圧降下補正機能を実装しているため供給電圧を正確に制御。また、PPS機能により、出力電圧を3.3V~11Vの間で20mVごとに、電流制限を50mAごとに各々調整できるため、充電時の変換損失を最小限に抑えることができるという。

STEVAL-USBPD27Sは、マイコン・ベースのソリューションとして、カスタマイズした追加のアプリケーション層の実装や、USB PD規格の更新に合わせた継続的な改良点の組込みにもきわめて柔軟に対応可能。
この製品の電力部には、STの高集積PWMコントローラ「STCH03」が採用されている。STCH03は、内蔵の高耐圧起動回路、一次側定電流出力制御、および先進的なパワー・マネージメント機能を搭載しており、擬似共振ゼロ電圧スイッチング(ZVS)フライバック・コンバータ向けに設計されているため、高効率、スタンバイ時の超低消費電力、および優れた動的特性を実現している。
また、STのスーパー・ジャンクション型 高耐圧パワーMOSFET「MDmesh M6シリーズ」の「STD7N65M6」が採用されているため、ハード・スイッチング・モードおよびソフト・スイッチング・モード双方においてスイッチング動作を最適化し、きわめて高い電力効率を実現するとのこと。

TCPP01-M12は、USB VBUSおよびConfiguration Channel(CC)ラインに対して、IEC 61000-4-2レベル4に適合する±8kVのESD保護を提供する。さらに、VBUSピンとCCライン間の短絡保護、および欠陥のあるケーブルが挿入された際の機器の損傷を防止する機能も備えているとしている。

STEVAL-USBPD27Sは、立方インチあたり10.2Wの電力密度を備えすぐに使用できる小型の(59 x 35 x 21mm)リファレンス設計。STEVAL-USBPD27Sは現在入手可能で、価格は約95.00ドル。

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