液位センサについて ガイドパルス式レベル計 GW100形(1)

(株)ノーケン
マーケティング部
河村 啓介

1.はじめに

レベル計は液体、粉粒体、塊体など貯留面の変動を検知する工業計器である。今回のテーマは”液位センサ”であるので、液体計測用のレベル計に限定してご紹介する。

2.液位センサについて

液位センサには、決められたある一点に貯留面(以下レベル)が達した際に接点出力するタイプと、液位変動に追随しアナログ出力などの連続信号を出力するタイプの2種類あり、計測する液体の種類、性状、使用環境(温度、圧力など)が多岐に及ぶため、その計測方式も多種多様である。
ここでは液位変動を連続信号として出力するタイプについて記述する。
このタイプの液位センサの主な機種は表1の通りである。

表1 液位センサ 主な機種

表1の中で形式欄に形式の記載されている機種が、弊社の取り扱い品である。
今回は弊社が新発売したガイドパルス式レベル計 GW100形について取り上げることにする。
GW100形は表1の赤い箇所に位置づけされる液位センサである。その前にGW100形と比較検討される機会の多い弊社取り扱い機種(表1では黄色の機種)について簡単に触れておきたい。

3.主な機種について

弊社が扱っている液位センサ機種は、フロート式、圧力式、静電容量式、超音波式、マイクロウェーブ式の5方式がある。

3.1フロート式

液体にフロートを浮かせて計測する液位センサ。中央のステム(ガイドパイプ)にドーナツ状のフロートを通し、タンクの上部に設置して計測させるタイプである。
(図5 設置例を参照)
フロート変動を検知する方法の違いで、抵抗式と磁歪式の2種類がある。

(1)抵抗式
ステム内の基板上にリードスイッチと抵抗を5mm又は10mmの間隔(検出ピッチ)で実装する。マグネット入りのフロートが上下することで基板上のリードスイッチが動作し、液位に見合った位置の抵抗値が出力される。検出ピッチ間隔で信号が階段状に出力される。

図1 抵抗式 動作原理

(2)磁歪式
ステム内の磁歪線にパルス電流を発信し、マグネット入りのフロート位置からのパルス電流による磁歪振動の反射を検知して、発信から受信までの時間を距離換算し液位を計測する。高精度及び高分解能な液位センサである。

図2 磁歪式 動作原理

※フロートの吃水位置が変動するため、フロート式全般で測定液の密度及び比重の変動に注意が必要である。フロートが摺動しなくなるほどの高粘度な液体、付着性の高い液体の計測にはあまり向かない。

3.2圧力式

液位に応じた圧力を感圧素子で検知し連続信号を出力するタイプの液位センサである。
投げ込み式、液位伝送器(差圧式・片圧式)、パージ式(気泡式)の3種類がある。
(図5 設置例を参照)

  1. 投げ込み式
    センサ部を液中に挿入し、センサ先端の受圧部で圧力を検知することで液位を計測する。ケーブル仕様で設置しやすい液位センサである。常温、大気圧環境で使用する。
  2. 液位伝送器
    タンク側壁や底部に設置し、受圧部で圧力を検知することで液位を計測する。差圧式は高圧側と低圧側の2箇所に検知部を設けて差圧を計測しており、密閉タンク(加圧タンク)での使用が可能。片圧式は開放タンク(大気圧)で使用。
  3. パージ式
    測定液内に挿入したウエイト付きホースやパイプから一定量のエアーを送り、その背圧の変動を計測する。
    ※圧力式は、液体の密度及び比重の変動が計測誤差に繋がるので注意を要する。
    受圧部に付着物があると圧力を検知しづらくなるため、受圧部の清掃をする必要がある。

3.3静電容量式

図3 静電容量式 動作原理

センサプローブとタンク壁(又は保護管)との間の静電容量値を計測し、液位変動に伴う変化(図3の△C)を検知し連続信号を出力するタイプの液位センサである。
初期設定において実液を投入した上でのゼロ点、スパン点の調整が必要である。

※静電容量値が異なる液体が投入される場合、その都度再調整が必要になる。

3.4超音波式

図4 超音波式、マイクロウェーブ式 動作原理

センサ放射面から超音波を発信し液面からの反射波を受信して、発信から受信までの時間を距離に換算して計測させるタイプである。

※真空タンクでは音が伝搬しないため使用できない。
音速を変化させるようなガスが発生する液体(有機溶剤やアンモニアなど)の計測も誤差が発生するため注意が必要である。

3.5マイクロウェーブ式(非接触式)

センサ放射面からマイクロウェーブを発信し液面からの反射波を受信して、発信から受信までの時間を距離に換算して計測させるタイプである。

※センサから発信した超音波やマイクロウェーブは、図4の通り徐々に広がっていく(ビーム角)。
このビーム角内にタンク壁やアングルなどの障害物が入ると計測が不安定になる場合がある。
ビーム角は機種によって異なるが、超音波式・マイクロウェーブ式ともセンサ設置の際はビーム角 内に障害物が入らないよう注意を要する。

液位センサの主な用途と特長は表2の通りである。

表2 各方式の主な用途と特長

各液位センサの設置例は図5、図6の通りである。

図5 フロート式、圧力式、静電容量式 設置例
図6 超音波式、マイクロウェーブ式 設置例

次回に続く-



【著者紹介】
河村 啓介(かわむら けいすけ)
株式会社ノーケン マーケティング部

■略歴
・1987年4月 能研工業株式会社(現・株式会社ノーケン)に入社
       名古屋営業所に配属
       外勤営業として勤務
・2019年4月 マーケティング部に異動  現職