OKIは、自社が提唱する「インフラモニタリングソリューション(注1)」につながるセンシング・デバイスのひとつである光ファイバーセンサを用いて、災害につながる異常な温度上昇をリアルタイムに監視する「異常温度リアルタイム監視ソリューション」を日本ドライケミカル(株)と共同開発し、10月8日より両社で販売を開始すると発表した。
両社は2014年8月の業務提携以降、双方の強みを活かした新たな防災システムの開発に取り組んできており、本ソリューションはその成果となるという。
近年の防災意識の高まりにより、火災などの予兆をより早く検知し、速やかな対処、避難や消火活動を可能とするシステムが求められている。「異常温度リアルタイム監視ソリューション」は、このようなニーズに対応し、建物や構造物、設備機器類に敷設したOKIの「光ファイバーセンサー WX1033 A/B(以下 WX1033 A/B)」によりリアルタイムに検知された異常な温度上昇などのデータを、日本ドライケミカルが開発した監視システムと連動させることで、火災などの早期発見・対処を実現する。
※左上画像:「異常温度リアルタイム監視ソリューション」のイメージ(「WX1033A」使用例)
「異常温度リアルタイム監視ソリューション」に使われているWX1033 A/Bは、OKIが通信市場で長年取り組んできた高速光通信技術を活かした、リアルタイムセンシングが可能な光ファイバーセンサ。OKI独自の技術「SDH-BOTDR方式(注2)」を採用し、従来のBOTDR方式では数十分かかっていた温度計測が1秒で実施できるほか、1秒周期で温度上昇を検出し、その発生場所を1m単位で特定することができる。
一方、日本ドライケミカルは、これまで総合防災企業として蓄積してきた火災発生のメカニズムや検知方法、最適な報知方法などのノウハウを統合して、OKIのWX1033 A/Bで検知した異常温度をリアルタイムで監視するアプリケーションを開発し、これを監視システムに組み込んだ。このアプリケーションは、光ファイバーセンサが異常温度を検知した際に、その位置や温度など発報に至った情報を、建物や設備系統図などの監視図面上にわかりやすく表示するもの。
両社の強みを活かした「異常温度リアルタイム監視ソリューション」は、素早く災害の予兆をとらえることができるため、法令で義務付けられた防災設備を補い、防災や減災に寄与するソリューションとして幅広く活用することが可能だとしている。
プレスリリース(OKI):https://www.oki.com/jp/press/2019/10/z19042.html
用語解説
注1:インフラモニタリングソリューション
OKIが提唱するインフラ構造物・設備の維持管理業務向けにAIなどのIoT活用技術による、運用の異なる現場に合わせたコーディネイトを段階的かつ効率的に実現するソリューションコンセプト。「インフラの見える化」「インフラの状態診断」「インフラの劣化予測」「インフラ工事の工程・安全監視」の4つのソリューションで構成される。
注2:SDH-BOTDR
BOTDR(Brillouin Optical Time Domain Reflectometry:ブリルアン光時間領域反射測定法)は、光ファイバーに光パルスを入射したときに発生する後方散乱光の1つである「ブリルアン散乱光」の周波数が温度や歪みに比例して変化するという特性を利用した、従来の光ファイバーセンシング手法。
SDH-BOTDR(Self Delayed Heterodyne -BOTDR:自己遅延ヘテロダインBOTDR)は、OKI独自の新技術(特許第6308160号「光ファイバー歪み測定装置および光ファイバー歪み測定方法」)により、「ブリルアン散乱光」の周波数の変化を電気信号の位相シフトに変換して捉えることで大幅に測定時間を短縮した、新たな光ファイバーセンシング手法。