都産技研(地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター)は、温度差を電力に変換する『熱電材料』について、優れた熱電特性を有し、有害元素を含まないp型リン系熱電材料を開発した。さらに、信頼性のあるデバイス駆動に重要な機械特性と熱膨張特性が優れていることも見い出した。排熱回収に関する本成果を活用して、エネルギー問題の解決やGXの実現を目指す。
・背景
熱によって生じる材料内の温度差を電力に変換する熱電材料は、排熱回収やIoTセンサ用自立電源としての応用が期待されている。しかしながら、中温域における従来のp型熱電材料は、①有害元素を含む、➁機械特性に乏しい、➂動作温度付近における非線形な熱膨張率の変化により熱電材料自身へのクラックの発生や金属電極の剥離、などの多くの課題を抱えており、社会実装を進めるためにはこれらの課題をクリアした材料の開発が求められていた。
・開発のポイント
◆有害元素を含まないリン系熱電材料で熱電性能の大幅な向上に成功。温度差を電力に変換する熱電性能の指標となるZT(無次元性能指数)> 1を、リン系材料において世界で初めて達成。
◆熱サイクルにより生じる熱応力や膨張収縮に耐えうる優れた機械特性と熱膨張特性を実現。
◆優れた特性から、工場や自動車の排熱を利用した発電、IoTセンサ用自立電源への展開に期待。
◆実用化に必要となる熱電デバイス作製において、ペアとなるn型熱電材料と金属電極の候補を提案。
プレスリリースサイト:https://kyodonewsprwire.jp/press/release/202409307338/html