準天頂衛星みちびきを利用した実証事業『適正な漁業操業に対するエンドースメント』

 2024年7月、オーシャンソリューションテクノロジー(株)は、内閣府と準天頂衛星システムサービス株式会社のみちびきを利用した実証事業において、採択されました。本事業のテーマは「インドネシア及びフィジーに於ける、信号認証サービスを用いた『適正な漁業操業に対するエンドースメント』及びMADOCA-PPPの測位精度検証と災害・危機管理通報サービスの利活用実証」である。本事業を通じて、持続可能な水産業の確立と漁業者の安全性向上を目指し、2024年10月にフィジー共和国で実証実験を開始する。

事業の背景
 世界の水産業において、適正な水産資源管理やIUU漁業(Illegal, Unreported and Unregulated漁業:違法・無報告・無規制漁業)の排除等による持続可能性の確立が課題となっている。IUU漁業に関与する漁業者の一部には、不正な位置情報(GNSS信号)を活用して当局の監視から逃れる行為が散見され、信号認証サービスの活用はこれらの対策として期待できる。
 また、漁業操業中の漁船の位置情報をより正確に知ることは、好漁獲が期待できる操業ポイントのより正確な記録や、同社が開発した漁業者支援サービス「トリトンの矛(※)」によるAIを活用した漁獲努力量の推定精度の向上につながり、操業効率の向上や水産資源管理へのデータ活用に貢献することが期待できる。加えて、地震や火山の噴火による津波の発生が想定される太平洋島嶼国地域において、携帯電波がつながりにくい洋上の漁船に、災害等に関する情報をリアルタイムに通知することは、漁業者の安全安心を高めることが期待できるという。

実証実験の内容
1. 現地洋上において、信号認証サービスを受信すること、受信した位置情報がクラウドサーバに格納されることを確認する。
2. 現地洋上において、高精度測位補強サービス(MADOCA-PPP)を受信すること、受信した位置情報がクラウドサーバに格納されることを確認する。
3. 現地洋上において、準天頂衛星みちびきの災害・危機管理通報サービス(災危通報)を受信することを確認する。また、受信した信号に基づいて、回転灯等の手段で船員へ情報を伝達できることを検証する。(検証には、試験データを活用)

※ トリトンの矛
 漁業者支援サービス「トリトンの矛」は漁業操業中の位置・速度・時間等のデータを収集し、これら情報をLTE(4G)通信網を経由してクラウドへ格納し、漁船の航跡を記録し、漁業者や行政機関に向け操業レビューを提供するサービス。

プレスリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000096785.html