(株)タニタは、「タニタ暑さ指数管理サービス」の提供を7月10日に開始する。本サービスは、任意の地点に設置した黒球式暑さ指数センサで計測したデータを専用サーバーに自動送信し、パソコンやスマートフォンのブラウザー上でいつでもどこからでも確認できるのが特徴。離れたところにいる管理者が広域にわたる複数地点の暑さ指数を一括で把握することで、包括的な暑熱対策を実践することができる。計測したデータは暑さ指数センサに内蔵したモバイルデータ通信機能で送信するため、暑さ指数センサを設置するだけでサービスを利用でき、無線ネットワーク等の構築は不要である。学校や保育所、建設や製造、運送の作業現場、スポーツ施設や公園など大人数が利用する複数地点の熱中症リスクを管理することが必要な法人に向けてサービスを提供するとのこと。
昨年の世界の平均気温は観測史上最も高くなり、「地球沸騰時代」という表現で警告されるほど夏の暑さは厳しくなっている。昨年の日本国内の熱中症による救急搬送人員数は9万1467人で調査開始以来2番目に多くなった。※1こうした熱中症リスクの上昇に備え、環境省と気象庁は従来の「熱中症警戒アラート」より一段高い危険度を示す「熱中症特別警戒アラート」を新設し、本年度から運用を開始している。
本サービスは、各地点に暑さ指数センサを設置し、計測したデータをパソコンやスマートフォンのブラウザー上で一括表示する。※2計測・表示する項目は「暑さ指数」「気温」「湿度」「黒球温度※3」で、計測した暑さ指数から「日常生活における熱中症予防指針」や「運動に関する指針」に基づく6段階の注意レベルを色やアイコンで知らせる。計測データを一覧で確認できるページの他に、地図画面では注意レベルを示すアイコンをマッピングし、各地点の暑さ指数を直感的に把握できるようにした。また、本サービスはアラートメール機能も備えている。暑さ指数28℃以上、31℃以上、33℃以上の3つの注意レベルから選択して設定すると、その値に達した際に自動的に知らせる。これにより、管理サイトを確認することなく暑さによる健康への危険が高まっていることに気づけ、対策を取ることができる。この他、管理サイトでは、地点ごとの計測結果の推移をグラフで表示。蓄積したデータを基に今後の暑熱対策の検討や計画策定に利用できる他、対策効果の確認にも活用できる。
本サービスで使用するのは、モバイルデータ通信機能を備えた全天候型の黒球式暑さ指数センサ「TC-350」。日本産業規格で定められる電子式湿球黒球温度(WBGT)指数計JIS B 7922:2023クラス2に準拠した暑さ指数センサで、日射や地面からの照り返しによる輻射熱を計測し、屋内外問わず、炎天下でも正確な暑さ指数を計測する。また、悪天の屋外で使用することから、IP66※4の防水防じん性能を備えた。通信方式はSIMカードによるモバイルデータ通信で、Wi-Fiなどによる無線インターネット通信環境がない屋外や複数施設にまたがる広域での暑さ指数の管理に活用できる。給電には専用の組電池を用いるため、屋外でコンセントがない場所でも使用できるとのこと。
※1消防庁による令和5年5月から9月の全国における熱中症による救急搬送人員の累計。
※2一括表示するのは契約法人が設置した暑さ指数センサのデータのみ。
※3黒色の球の中心温度で、日射や地面からの照り返しによる熱を計測している。
※4JIS(日本産業規格)で定められた電気機器内への異物の侵入に対する保護等級の一つで、IP66は強風による粉じんが内部に入らず、豪雨でも浸水の恐れがない防じん防水性能等級である。