◇発表のポイント
・市販のコンタクトレンズに搭載可能な、小さく透明で柔らかい複合マイクロメッシュ電極を実現
・本研究グループがこれまでに開発した導電性高分子を用いた電極技術により実際に市販のコンタクトレンズへの貼付、および局所的に絶縁することに成功
・これにより、網膜の局所的な応答を計測する複数点同時網膜電位計測が可能
・本成果は、緑内障や網膜色素変性症に伴う盲点評価につながる
早稲田大学大学院情報生産システム研究科の三宅丈雄教授、アザハリ・サマン助教の研究グループと山口大学大学院医学系研究科眼科学講座の木村和博教授・芦森温茂助教らの研究グループは、市販のコンタクトレンズに搭載可能な、小さく透明で柔らかい多点マイクロ電極を開発し、これまで技術的な課題のあった網膜の局所的な応答を測定することが可能となることを確かめた。
これは、半導体微細加工技術によって、実用にも耐えうる82%以上の光透過性を持ち、かつ、微小な電位を計測可能な複合マイクロメッシュ電極(導電性高分子と金の複合化)である。
さらに、市販のコンタクトレンズに本マイクロ電極を貼り付け、網膜電図(ERG)計測に用いる以外のリード線を絶縁化することにも成功した。開発した電極は、角膜上皮細胞を用いて95%以上の生存率を実現できること、また、家兎試験によって市販のERG電極と同等の性能を有することを確認した。
さらに、アレイ化された7マイクロ電極でERGを多点計測できることを確かめた。これら成果は、緑内障や網膜色素変性症に伴う盲点評価などにつながるという。
以上は、(国研)日本医療研究開発機構(AMED)、キヤノン財団の助成による成果であり、2024年5月7日にWileyの科学誌「Advanced Materials Technologies」にオンライン版で公開された。
プレスリリースサイト(waseda):https://www.waseda.jp/inst/research/news/77474