STマイクロエレクトロニクスは、電力効率とコスト・パフォーマンスに優れた汎用32bitマイクロコントローラ(マイコン)「STM32U0シリーズ」を発表した。
同製品は、従来製品と比較して消費電力を最大50%削減可能で、バッテリ寿命の延長に貢献する。これにより、バッテリの廃棄による環境負荷を最小限に抑えることができる。また、バッテリを使用せず小型太陽電池などのエナジー・ハーベスティング・システムのみで動作する機器の設計が可能になるという。
世界的に持続可能性への要請が高まる中、スマート・ビルディングやIoTアプリケーションに導入される技術は、エネルギーやリソースを効率的に管理するうえできわめて重要である。STのマイコンは、これらを可能にするスマート・センサやアクチュエータの中核として使用されており、クラウドの上位アプリケーションと通信しながら、データ収集やフィルタリング、解析、処理といったプロセスを制御する。このようなマイコンは、すでに数十億個が稼働中で、生活環境や職場環境のスマート化が進むにつれて、より多くのマイコンが必要となる。
STM32U0マイコンは、STの最先端の設計技術と先進的な製造プロセスを組み合わせることで、電力効率の飛躍的な向上を実現している。スタンバイ・モードにおける静止時の消費電力がきわめて低く、ウェイクアップ性能に優れているため、より多くの時間を低消費電力のスリープ・モードで使用することで、消費電力の平均値を最小限に抑えることができる。
セキュリティ・システム市場における主要顧客の1社は、STM32U0マイコンを防犯カメラに採用している。動作を検知したときにカメラが起動するため、監視性能の向上と低消費電力化を両立している。きわめて長期間の動作が可能な火災検知器を開発した企業もある。また、Ascoel社はSTM32U0マイコンを使用して、水道メータの超低消費電力機能を制御している。
STM32U0マイコンは、LCDセグメント方式のディスプレイ・コントローラを提供し、コスト効率を向上させる。Ascoel社の水道メータや、サーモスタット、小売店用スマート・ラベル、アクセス制御用パネル、ファクトリ・オートメーションといったLCDを搭載する機器は、この機能を活用して基板のコスト削減が可能である。その他にも付加価値の高い機能を備えており、ADコンバータ、DAコンバータ、オペアンプ、コンパレータなど、多数のアナログ・ペリフェラルを集積している。システム・オシレータも内蔵しているため、部品数を抑えてコスト削減や基板面積の小型化に貢献する。
STM32U0マイコンは、Arm® Cortex®-M0+搭載マイコンとしては初めて、ファームウェア・コード保護を目的としたSESIPレベル3およびPSAレベル1認証をターゲットにした製品である。SESIPレベル3認証により、機器メーカーはSTM32U0マイコンのセキュリティ機能を第三者によって保証することができるため、今後自主的に制定されるUS Cyber Trust Mark、および2025年に義務化される欧州EUの無線機器指令(RED)への準拠に活用できる。
また、開発者は、最大256KBのFlashメモリや、最大81ピンのパッケージ・オプション、最大動作周波数56MHzのコアなど、このクラスの製品としてはきわめて高い性能を利用できる。
STM32U0シリーズは現在量産中で、単価は1000個購入時に約0.68ドル。価格およびサンプル提供については、STのセールス・オフィスまたは販売代理店までお問い合わせのこと。
プレスリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001373.000001337.html