STマイクロエレクトロニクスは、ハイエンドの産業機器や、業務用および生活家電に最適な大電流モータ・ドライバ「STSPIN9シリーズ」を発表した。
STSPIN9シリーズ初の製品である「STSPIN948」(出力電流4.5A)および「STSPIN958」(出力電流5.0A)は、PWM制御ロジックと58Vのパワー段を集積しており、システム保護機能と2つの電流センス・アンプを備えている。ブラシ付きDCモータおよびバイポーラ型ステップ・モータの駆動に最適で、部品コストの削減に貢献するとともに、優れた柔軟性と拡張性を提供する。
STSPIN948は、2個のフルブリッジを集積しており、異なるモードで駆動するように設定可能。これにより定格の異なる複数のモータを異なるモードで駆動するような柔軟な開発が可能になる。また、PWMベースの電流制御モードをオフ時間固定、またはしきい値設定から選択することで、5種類の駆動モードを使用可能。同製品は、VQFPN48パッケージ(7 x 7mm)で提供される。
STSPIN958は、1個のフル・ブリッジを内蔵しており、単方向モータを2個、双方向ブラシ付きDCモータを1個、または出力を並列化することで大電流の単方向モータを1個駆動するモードが可能である。STSPIN948と同様に、オフ時間固定としきい値設定の電流制御モードを選択でき、デュアルのハーフブリッジや、シングルのフルブリッジ、およびハーフブリッジの並列接続が可能なため、7種類の駆動モードを使用できる。同製品は、VFQFPN32パッケージ(5 x 5mm)で提供される。
STSPIN948およびSTSPIN958は、幅広い動作電圧範囲と優れた柔軟性を備えたモータ・ドライバである。ファクトリ・オートメーション、繊維機械、産業用・家庭用ロボット、舞台照明、ATMや現金処理機、アンテナのコントローラ、自動販売機および、さまざまな産業機器および生活家電に最適である。
両製品ともに、外付け抵抗を使用することで出力トランジスタのスルー・レートを0.3V/ns、0.6V/ns、1.2V/ns、または2V/nsにプログラム可能である。これにより、消費電力と電磁ノイズの最適化が可能。また、デッド・タイムを設けているため、貫通電流を防止できるとともに、各MOSFETのオン抵抗がわずか200mΩと低いため、動作効率の最大化にも貢献する。伝搬遅延が280nsときわめて短く、システム・コマンドに対する高速のダイナミック応答が実現する。
STSPIN948およびSTSPIN958は、過電流保護や過熱保護、短絡保護、低いバス電圧を検出する減電圧保護(UVLO)など、豊富な保護機能も内蔵している。
また、開発期間の短縮に貢献する低コストで使いやすい評価ボード「EVSPIN948」および「EVSPIN958」も提供されている。EVSPIN948は、STSPIN948を使用して最大2個のモータを駆動し、EVSPIN958は、STSPIN958を使用して1個のモータを駆動する。いずれも機能拡張用に設計された評価ボードで、ほとんどのSTM32 NucleoボードやArduino® UNO R3コネクタと互換性がある。
両製品は現在量産中で、1000個購入時の単価は、STSPIN958が約1.42ドル、STSPIN948が約2.35ドル。
ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001334.000001337.html