(株)モルフォは、水力発電所向けにセンサデータを用いてタービン(※1)内部のベアリング(※2)温度を予測するAIモデルを開発した。これにより発電所設備のメンテナンス性向上に貢献したという。
多くの産業用装置では、品質や稼働の安定性の管理、安全性の考慮などの様々な理由から、主要なセンサの測定値を監視することが重要視されている。今回モルフォが開発した予測AIモデルの搭載により、システムの重要な部分の監視や不具合等の兆候を察知することが可能となり、装置が故障する前に予知保全が行えるようになる。
今回のプロジェクトでは、お客様から収集した過去データを使用してモデルの学習を行い、タービン内部のベアリング温度の予測AIモデルを開発した。ベアリング温度を予測することは、タービン内部への冷却水の注入やメンテナンスの必要性を知る上で非常に重要である。モルフォが開発したAIモデルは、種類の異なるセンサの時系列データから、タービンが停止する際のベアリング温度の時系列変化予測を可能とする。
画像は、タービン停止時に行われた予測と実際の温度測定値を示している。「現在」の時点では発電(緑色)は停止しており、タービンの回転速度(青色)は徐々に低下している。予測(点線部分)は「現在」の時点までのデータのみを使用しており、開発したモデルでは停止後の実際のベアリング温度(黄色)を正確に予測できることが確認できた。
本技術により、タービンの故障や異常の早期発見、メンテナンス性の向上、発電所の効率的稼働に繋げることができるとのこと。
※1:タービン:流水、蒸気、ガス、空気などの作動流体のエネルギーを回転運動のエネルギーに変換する装置。
※2:ベアリング(軸受):機械の中の軸を支え、正しい位置で滑らかに回転させるために使用される部品。
プレスリリースサイト:https://www.morphoinc.com/news/20230615-jpr-ai_tsf