月面探査車YAOKIを開発する(株)ダイモンは、月着陸船を開発している米Intuitive Machines社と月輸送に関する契約を締結した。同社の2回目の月輸送ミッション(2023年後半を予定)で、月着陸船Nova-CにYAOKIを乗せ、月の南極に送り込む。月面着陸後、YAOKIは地球からのリモート操作による月面走行および月表面の接写画像データの獲得など、超小型ロボットによる月面運用を実施する。
なお、今回の契約に伴い、弊社はProject YAOKI の計画を一部見直し、CLPS-1においてAstrobotic Technology社の月着陸船PeregrineにYAOKIを乗せ月に送り込む計画を、同社の次回以降のミッションへとスライドすることを決定した。
■経緯
同社では超小型・超軽量の月面探査車YAOKIを開発し、今後の月開発に向けた探査ミッションに挑戦すると共に、安価で高頻度に利用できる月面実験プラットフォームとしてサービスを提供している。継続的に複数台の機体を月に送り込めるよう、月輸送サービスを提供する企業と交渉を進めている。
2019年にAstrobotic Technology社と月輸送の契約を締結していたが、この度、Intuitive Machines社とも契約締結に至った。
YAOKIは1回目の打ち上げでは内臓バッテリー駆動で確実な月面稼働の実績を得て、2回目の打ち上げでは月面充電を実施する事で長期的な稼動を計画している。
■ロケットおよび月着陸船について
今回同社がYAOKIを載せる契約を締結したのは、Intuitive Machines社の Mission 2 (IM-2)となり、2023年後半の打ち上げとして計画されている。ロケットは米Space X社のFalcon 9である。 Intuitive Machines社の月着陸船Nova-Cで輸送され、着地場所は月の南極付近となる。
■YAOKIが提供する価値
今後の国際的な月開発のロードマップとして、月面基地の建設などが計画されており、そのためには月面探査および様々な要素技術の月面実証が必要不可欠となる。しかし現在、月輸送のコストは1kgあたり約1億円以上という相場となっており、大規模な機材になるほど実証実験にかかるコストも大きくなる。それはまた失敗時の損失リスクも大きくなることを意味する。
YAOKIは、超小型・超軽量という特徴を活かすことで、安価に、かつ高頻度に月に送り込むことが可能である。YAOKIには、センサやモーター、バッテリー、通信機など、ロボットに必要な様々な要素技術を搭載し、月面で実証実験することができる。YAOKIを活用することで、より多くの企業が月開発に参入するための月面での稼働実績を得ることができる。YAOKIは世界初となる多企業連携型の月面実証探査車である。
ミッションチームは、各企業が持つ技術やサービスが、今後拡大する月面市場で競争力を発揮できるよう、様々な企業に連携を呼びかけている。
■Intuitive Machinesについて
Intuitive Machinesは、米国のテキサス州ヒューストンに本社を置く宇宙スタートアップ企業である。月面アクセスサービス、軌道サービス、月データサービス、宇宙製品およびインフラストラクチャを提供している。NASAの商業月面輸送サービス(CLPS)に採択され、NASAや民間のペイロードを搭載した月着陸船を2023年第一四半期までに打ち上げる予定であるという。
■YAOKIについて
YAOKIは、超小型、超軽量、高強度を兼ね備えた月面探査車(月面ローバー)で、コストを抑えて月面に送り込むことができる。YAOKIは二輪方式を採用し、特許技術を駆使する事で、超軽量小型化を可能にした。従来の小型探査車に対し、重量で10分の1(現在498g)、大きさで50分の1(15×15x10cm)を達成している。それにより、1kgあたり1億円以上かかるといわれる月への輸送費を大幅に節減している。
今始まろうとしている国際的な月開発事業は急拡大する新しい市場である。YAOKIは、これまでに月開発市場の参入を目指すパートナー企業様の要素技術を搭載して月面実証機として期待されており、今後もその数を増やす予定である。また、2023年からは、月面探査車YAOKI自体をOEM提供し、受給した企業様自身が月面探査を実施できるサービスを新たに開始するとのこと。
ニュースリリースサイト(dymon):https://dymon.co.jp/news/202301-intuitive-machines/