(株)NTTデータは、100%再生可能エネルギーを利用したカーボンニュートラルデータセンターにおいて、サーバールームの室内環境をリアルタイムに可視化するシステム「Green DC energy management™(以下:本システム)」を開発し、2022年7月1日より運用開始した。
サーバールーム内の温湿度だけでなく、サーバーが内蔵しているセンサから給気温度・電流値、電力消費量、CPU稼働率や、冷却エネルギー、再生可能エネルギー導入量などをリアルタイムで一元管理できるしくみである。
通常、サーバー室は室単位で設定された温湿度条件で冷却されており、IT機器の環境特性※注1を十分に生かせていないことから過冷却によるエネルギーの無駄が生じているケースが多く見られる。今回、同社サーバールームにおいて温度センサから取得した情報を機械学習で空調機を自動制御する空調AI制御と組み合わせ、室内の高温エリアをサーバー単位で割り出し、集中的な冷却を可能としました。これにより過冷却を抑制し冷却エネルギーを約35%削減することに成功した。
今後、建設中の三鷹データセンターEAST2期棟※注2をはじめ、自社データセンターへ順次展開をしていくことで、使用電力量の削減を推進していくという。
背景
NTTデータは、2030年までにScope1・2を60%削減(2016年度比)、2040年にScope1・2カーボンニュートラル、2050年までにScope1-3ネットゼロを目標としている。2022年4月からは、同社が入居する豊洲センタービルと同アネックスビルでの使用電力や、主要サービス(決済/金融関連のANSER®、CAFIS®、およびデジタル・トランスフォーメーション基盤のOpenCanvas®)の運用で使用する全電力を、100%再生可能エネルギー※注3、※注4としてきた。また、同年12月からは、沖縄IT津梁パークでNTTデータグループがBPO事業を展開する2号棟および7号棟で使用する電力をカーボンニュートラル化※注5する予定である。
これらに加え、NTTデータの使用電力全体の約8割を占めるデータセンターにおける電力削減を目的として、サーバールームの運用改善の取り組みを行っている。その取り組みの1つとして、サーバールーム見える化システム「Green DC energy management」を構築し、Scope2におけるデータセンター使用電力の可視化を行った。
概要
「Green DC energy management」は、空調機や室内温度センサ、サーバーから温湿度情報・サーバー1台ごとの電流値・給排気温度・電力消費量・CPU稼働率等の情報を取得し可視化している。可視化システムは、NTTデータと住友電設(株)が共同開発した。サーバーからの情報収集はインテル(株)のインテル®データセンター・マネージャーを使用している。空調AI制御は、(株)NTTファシリティーズのSmart DASH®を使用している。
室内環境やサーバーの運用状況を可視化することにより、現状の運用での問題点を抽出することが容易となり継続的な運用改善の取り組みが可能となる。
活用シーン
室内の温湿度環境を視覚的に把握することができ、サーバー増設などで熱だまりが発生した場合に問題を早期に検出することができる。加えて、サーバーの電流値をリアルタイムで確認することができるため、回路ごとの許容電流値に対する使用状況を把握することができる。
また、株式会社NTTファシリティーズが提供する空調AI制御を合わせて用いることにより空調環境を最適化し2022年4月~5月の効果検証においては冷却エネルギーを約35%削減したことを確認したとのこと。
今後について
今後は、自社データセンターへ順次展開を予定しており、現在建設中の三鷹データセンターEAST2期棟へ導入予定。また、サーバールームだけでなく建物全体の使用電力を可視化し、テナントごとやサーバーラック単位で使用電力を管理したり、ビル全体の環境負荷を管理することが可能な統合管理システムを構築予定としている。
注釈
※注1:サーバー等IT機器の温湿度適応範囲が広がっており、データセンターのエネルギー削減において、この環境特性を生かすことが重要。
※注2:三鷹データセンターEAST2期棟は2023年6月より稼働予定。
※注3:https://www.nttdata.com/jp/ja/news/release/2022/031600/
※注4:https://www.nttdata.com/jp/ja/news/release/2022/031601/
※注5:https://www.nttdata.com/jp/ja/news/release/2022/042700/
ニュースリリースサイト(NTTdata):https://www.nttdata.com/jp/ja/news/release/2022/072901/