ST、消費電力と測距性能が大幅向上の次世代マルチゾーン対応ダイレクトToF測距センサ

 STマイクロエレクトロニクスは、スマートフォンのカメラ管理および拡張現実(AR) / 仮想現実(VR)に最適なFlightSense™ ToF(Time-of-Flight)測距センサ「VL53L8」を発表した。
同製品は、多くの主要コンポーネントが大幅に強化されており、従来製品と比較して大きく向上した測距性能(あらゆる屋内ゾーンで最大4m)を実現している。また、一般的な条件下での動作における消費電力が半減している。

VL53L8は、Metalenz社との協力によって開発された世界初の光学メタサーフェス技術により、単層でより多くの光を光学システムに集めるとともに、複数の機能を提供することができる。そのため、スマートフォンなどの機器の小型化に貢献すると同時に、新たなセンシング方式を実現することができる。

VL53L8は、スマートフォンやタブレットの前面 / 背面カメラをはじめ、スマート・スピーカやAR / VR / MR機器などのパーソナル電子機器向けアクセサリに最適である。前面カメラ・アプリケーションには対象物の追跡やジェスチャ認識が含まれ、背面カメラ・アプリケーションには、レーザー・オートフォーカス、カメラ選択、タッチ・ツー・フォーカス、フラッシュ調光が含まれる。VL53L8は、低照度条件においてもこれらの機能に大きなメリットを提供する。また、屋内外での検出やスマート・フォーカス・ブラケティング、コンスーマ用LiDARなど、深度マッピングが求められるアプリケーションにも最適である。

技術情報

VL53L8は、940nmの高出力VCSEL(2)光源、VCSELドライバを集積したシステム・オン・チップ・センサ、SPAD(3)の受光アレイ、低消費電力32bitマイクロコントローラを集積したセンサ・モジュールで、送信 / 受信開口部にメタサーフェス・レンズ技術を採用している。「VL53L5」と同様に、16(4 x 4)または64(8 x 8)のマルチゾーン測距に対応し、安定した高精度の測距性能を実現する。

VL53L8は、VL53L5を含むSTの従来製品で実現されたイノベーションをさらに発展させた次世代のToF測距センサ。高効率の回折光学メタサーフェス・レンズ技術を採用しており、STのクロル工場(フランス、300mm工程)で製造されている。前世代より高性能の新しいVCSELドライバに高効率VCSELを組み合わせているため、同等の条件でVL53L5から大きく向上した測距性能を達成、または消費電力を半減することができる。この性能は、同じ視野角と出力測距ゾーン(60fpsで4×4または15fpsで8×8)を維持したままで実現されている。単一のリフロー型コンポーネントで提供され、1.2Vおよび1.8VのI/O互換性を備えているとともに、ホスト・プロセッサに要求される負荷が従来製品と比べて大幅に軽減されている。これにより、簡単にシステム統合を行うことができる。

VL53L8は、STのすべてのFlightSense ToF測距センサと同様に、IEC 60825-1 Class 1認証を取得している。先進的なレンズ取外し検出システムを備えているため、コンスーマ機器において目の安全を確保することができる。

VL53L8は、現在先行顧客向けに提供を開始している。価格およびサンプル提供については、STのセールス・オフィスまたは販売代理店までお問い合わせのこと。

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001244.000001337.html