(株)KELKは、、エネルギーハーベスティング(※1)により、わずか5℃の温度差(※2)から動作する新製品の電池レスIoT振動センサデバイス『熱電EH振動センサーデバイス KELGEN(ケルジェン) SD KSGD-SV』を発表した。
新製品は、モーターに置くだけで、排熱により上昇したモーター表面の温度と外気との温度差5℃から自己発電で動作し、回転機器の振動をセンシングする。速度RMSタイプのKSGD-SV8では、温度差5℃の条件下において、45分間の蓄電後に測定を一回実施する(表1)。
従来の温度差10℃から動作する製品に比べ、大幅に小さな温度差で動作する電池レスIoT振動センサデバイスは、間欠動作の回転機器や大型のモーターなどからの排熱による、より小さな温度差で自己発電し、安定して振動を測定する。また、コールドスタート時の測定開始時間を短縮する。
■電池レスIoTデバイスによる設備モニタリングシステム
設備の老朽化や熟練保全技能者不足が進む設備の保全において、突発的な故障による機会損失の防止と修繕費用や点検費用の削減のため、センサにより測定したデータを活用した故障予兆の検知により、適切なタイミングで設備の保全を行う予知保全(CBM ※4)が求められている。特に、設備故障原因の約半数を占める回転機器においては、異常発生後の早い段階に現れる振動の異常を検知する設備モニタリングシステムによるCBMが求められています。しかし、設備モニタリングシステムの初期費用と運用費用の課題によりCBMは普及が進んでおらず、多くの設備において保全員による巡回点検が続いている。
KELKは、モーターに置くだけで、わずか5℃の温度差から動作する、配線工事と電池交換が不要な 電池レス『熱電EH振動センサーデバイス KELGEN SD KSGD-SV』と、汎用PC上でビッグデータの統計演算とグラフ化を高速に実行する『設備状況見える化ソフトウェアSDM-Plus』をシームレスにつなげる設備モニタリングシステム『KELGEN SDシステム』により、IoTデバイスによる設備モニタリングシステムの初期費用と運用費用を大幅に低減した。『KELGEN SDシステム』は、設備保全のCBM化と保全員による巡回点検の削減を推進し、設備保全の生産性向上に貢献するという。
■KELGEN SDについて
周囲の環境からのエネルギーハーベスティングにより動作する電池レスIoT振動センサ『熱電EH振動センサーデバイス KELGEN SD KSGD-SV』は、日本プラントメンテナンス協会が主催する2020年の TPM優秀商品賞 開発賞、および、モノづくり日本会議(※5)と日刊工業新聞社が主催する2020年の“超”モノづくり部品大賞 電気・電子部品賞を受賞した。
※1 エネルギーハーベスティング:EH。環境発電。環境中の微小なエネルギー(熱,光,振動,電波,等)から電力を得る技術。
※2 温度差: KELGEN SD電源部の受熱側の表面温度と、無風状態での雰囲気(外気)温度との温度差
※3 エンベロープ処理:振動波形の振幅成分を包絡線(エンベロープ:Envelope)で外挿し、振幅の外形を取り出す処理方法。高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform)することで、衝撃波の周波数分析ができる。
※4 予知保全(CBM):Condition Based Maintenance。設備の劣化状態を把握・予知して部品の交換や整備を行う状態基準保全。予防保全に比べ約10%のメンテナンスコスト削減、設備のダウンタイム削減等の効果がある (出典:米国エネルギー省 Operations & Maintenance Best Practices)
※5 モノづくり日本会議:日本のノづくり産業の発展・競争力強化を図ることを目的とした約2000社が参加する経済産業団体。
ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000060621.html