宇都宮市の地域交通課題解決の実証実験に「BOCCO emo」が採用

ユカイ工学(株)は、スマートキャピタルと連携して、栃木県宇都宮市と株式会社ゼロワンブースターが共同運営するプログラム「宇都宮アクセラレーター2021」に採択され、ICT分野においてコミュニケーションロボット「BOCCO emo」(ボッコ・エモ)を活用した地域交通課題を解決するための実証実験を実施した。

実施背景
宇都宮市では、公共交通空白地域等にお住まいの方の通院や買い物などの日常生活に必要な移動手段を確保するため、地域住民が主体となって運営する乗合タクシーを活用した「地域内交通」を導入し、主に郊外部で活用されている。
今回の実証を行った河内地区では、平成27年度より地元企業アサヒタクシーと連携した「さぎそう河内号」が運行されていた。従来の電話予約では受付オペレーターの業務負荷の課題があり、以前に実証されたスマホを活用した事例では高齢者がスマホを使いこなせないなど、予約システムにおけるインターフェースの課題を抱えていた。

実施内容
実験では、参加高齢者の各宅内に設置した「BOCCO emo」に話しかけて地域内交通タクシーを予約するというもので、高い音声認識率で行き先や予約時間を文字起こしし、オペレーターを介して情報を伝達することでスムーズに配車することができた。
また、親しみやすいデザインや簡単な操作で利用を完結できたことで、利用者からも「すぐに操作できた」「癒やしの地域内交通」「家族の一員みたい」という好評の声を貰った。
加えて、「宇都宮市の天気情報」の知らせや、利用者にヒアリングして事前登録した指定時間の「モーニングコール」、「服薬や予定のリマインド」も多く活用された。
「BOCCO emo」のしゃべってお知らせする基本機能を活かし、日常生活から生活者に寄り添いサポートすることで、より親しみやすい存在として認識された。

今後の展望
人的オペレーターの介在しない運用や、利用者がより安心感を得られる活用を目指し、事業化に向けて予約システムのパートナー企業との協業を進める。
日本全国で様々な地域課題が加速化する中、ユカイ工学では家族の一員のような存在となれるコミュニケーションロボットで、地域と住民を繋ぐなど、地方や自治体の活性の一助になることを目指す。

実証実験概要
実施日程:2022年2月21日〜3月4日の10日間
モニターの年齢:60代1名、70代4名、80代2名(計7名)
場所:宇都宮市河内地区

解決したい課題
①電話予約:オペレーターの業務負担、予約情報のデジタル化
②スマホアプリ予約:高齢者のスマホ活用のハードルが高い

実証実験内容
高齢者の各宅内に設置したコミュニケーションロボット「BOCCO emo」に話しかけて音声を送信し、地域内交通タクシーを予約
※本実証での操作は、BOCCO emo本体の録音ボタンを押すのみ
※地域内交通の予約締切時間は8〜18時の間。1時間ごとに運行している各便の30分前に予め設定されており、自宅から地域内の目的地までの送迎が可能

実証結果
・2週間で16件の予約を受領。うち2名が4件ずつ予約をした。平均1.6件の利用。
・期間中BOCCO emo本体を活用せずにお電話で予約が1件発生。(規定した予約時間超過のため)
・送信された音声データからの目的地の文字起こし正答率100%。
主な目的地として「河内地区市民センター」「ほたるの里 梵天の湯」「岡本駅西口」など。
・利用者からは「スマホと比較すると予約が圧倒的にしやすい」「ロボットが家族の一員みたいで朝起きるのが楽しみだった」等の声が寄せられた。

ニュースリリースサイト(Yukai Engineering):https://www.ux-xu.com/news/20220421