OKIは、橋りょうなどインフラ構造物(注1)の劣化を予測・予防保全できるインフラモニタリングサービス「monifi™(モニフィ: MONItoring service For Infrastructure)」の販売を2022年4月より開始する。
本サービスは、OKIが取り組む「防災DX」の一つで、多種多様なセンサで取得したインフラ構造物の振動や河川の水位など現場の情報を収集・分析することにより、インフラの劣化進行や災害状況を予測し、最適な予防保全を可能にするという。
本サービスを同時発表の「ゼロエナジー高感度カメラ」や各種センサと連携させることで、広範囲でのインフラの巡回点検の自動化、遠隔地からの災害現場の目視確認など、総合的な防災DXが実現できる。またクラウドサービスとして提供することから、小規模なモニタリングも可能で、インフラ構造物の安全・安心を維持する高度なマネジメントを、必要な場所ですぐに実現できる。OKIは本サービスを、インフラを保有・管理する道路・鉄道などのインフラ管理者や、防災・減災に取り組む官庁・自治体などに販売する。
高度経済成長期以降に建設されたインフラ構造物は老朽化が進み、国は、予防保全型インフラメンテナンス(注2)を推進している。既存インフラの小規模補修による長期利用を目指し、予防保全段階(注3)となったインフラに対し、詳細調査や追跡調査などの調査や、必要に応じた補修を行い、維持管理のトータルコスト削減を推進している。また、近年の激甚化する豪雨など自然災害に対し、リアルタイムな異常検知を実施し、インフラが安全に利用できるか判断することが求められている。こうした予防保全や異常検知の手段として、現場のデータを収集して遠隔からインフラを監視するモニタリングシステムへの期待が高まっている。しかし、従来のモニタリングシステムは導入までにコストや時間がかかり、かつ収集した計測値を予防保全に役立つデータとして活用するための変換や分析が難しいことが、導入・普及の障壁となっていた。
OKIはこれまでもさまざまなインフラに対し、モニタリングを実施するためのセンサなどを提供してきた。その実績の中で得た顧客の声をもとに開発したのが「monifi」である。「monifi」は、インフラなどに設置された多種多様なセンサから取得した情報から、「monifi」に実装されたモニタリング手法(注4)により、インフラの状態を簡単に「見える化」する。また、自然災害後、インフラが安全に利用できるか判断するため、劣化進行を遠隔地からモニタリングし、危険作業を軽減するとともに、利用継続や利用再開するための追加調査の要否判断を支援する。そして、クラウドサービスとして提供することより、センサ1台からの小規模なモニタリングも可能。インフラ構造物の安全・安心を維持する高度なマネジメントを、必要な場所ですぐに実現できるとのこと。
■販売計画
提供価格
初期費10万円(税別)(※1)月額費1.5万円(税別)/1センサ(※2)
(※1)ゼロエナジーゲートウェイおよび光ファイバーセンサ1台単位に必要。
センサ計測値の閲覧画面はあらかじめ定めたテンプレートにて提供。
(※2)無線加速度センサから取得した情報を「monifi」で閲覧する機能。
モニタリング手法利用時は、追加費用が必要。
販売開始
2022年4月~
販売目標
2022年度から2024年度の3年間で1,000拠点
■主な特長
・Agility(俊敏性):始めやすい
①計測値のモニタリング手法を標準搭載
センサ情報の収集だけでなく、モニタリング基準(注5)に基づいた各種のモニタリング手法を提供。
②1台のセンサーからモニタリング可能
センサー1台からインフラのモニタリングが可能。
・Scalability(拡張性):拡張しやすい
①モニタリング規模の拡張性
多数のセンサを接続可能。局所的モニタリングから大規模な防災DXまで対応可能。
②モニタリング手法の拡張性
OKI製のセンサ機器のほか「MQTT(注6)」に対応する他社製のセンサー機器も接続可能。また、センサ計測値を分析する手法はアドオンで拡張が可能。
・Usability(有用性):把握しやすい
①各現場に応じた自由度の高い画面構成
モニタリング状況を表示する画面を利用者ごとにカスタマイズできる。表やグラフ形式に加え、GISや図面重畳など位置的な状況把握が容易な表現形式を採用している。利用者の視認性を高め、インフラの状況を多面的に把握することが可能。
②メールによる情報共有
センサでの計測値があらかじめ設定した閾値に達した際に、指定したメールアドレスへ通知するなど、センサ情報やモニタリング結果を関係者で共有できる。
注1:インフラ構造物
道路、鉄道、上下水道、港湾、通信、エネルギーなどに関する公共的な機能を有する構造物。
注2:予防保全型インフラメンテナンス
大規模な更新や建替え工事ではなく、小規模な補修工事を繰り返し、費用を抑制しながら安全・安心なインフラ環境を維持することを目指している。
注3:予防保全段階
構造物の機能に支障が生じていないが、予防保全の観点から措置を講ずることが望ましい状態。
注4:モニタリング手法
センサ機器の接続、センサ情報の収集およびセンサ計測値を分析する総合的な手法。
注5:モニタリング基準
モニタリング技術研究組合(RAIMS)のガイドラインに基づく閾値をモニタリング基準として採用。RAIMSは道路・高速道路の管理者、ゼネコン、建設コンサルタント、電気・通信メーカー、センサ・設備メーカーと各分野の専門家との相互扶助組織団体。RAIMSの成果は国立研究開発法人土木研究所より公表されている。
国立研究開発法人土木研究所構造物メンテナンスセンター CAESAR (https://www.pwri.go.jp/caesar/technical-information/results/index.html)
第4408号 土木構造物のためのモニタリングシステム活用ガイドライン(案)
(https://www.pwri.go.jp/jpn/results/db/doken_kankoubutu/doken_shiryou/files/doken_shiryou_4408_00.pdf)
注6:MQTT(Message Queuing Telemetry Transport)
メッセージサイズが小さく、通信経路が不安定な個所でも利用でき、必要な商品電力も抑えることができる通信プロトコル。センサーネットワークなどIoT分野に使用することが適している。
プレスリリースサイト(OKI):https://www.oki.com/jp/press/2022/03/z21101.html