(株)エクサウィザーズは、同社が提供するマルチモーダルなロボットAIソリューション「exaBase ロボティクス」によって、重機操業における作業状況を可視化し、熟練作業の効率的な技能伝承を実現するデータ解析基盤を構築した。
そして、本年2月より、日本製鉄(株)の東日本製鉄所君津地区において同解析基盤の検証を開始した。
□背景
少子高齢化に伴う人手不足や製造現場での技能伝承の課題を背景として、産業基盤のDXによる「遠隔化・自動化」の推進が喫緊の課題となっている。
製鉄現場では、溶けた鉄の成分、品位調整をする際に発生するスラグ※を分離する作業が必要になる。この作業では1,000度を超える高温溶融物を扱うため、作業員は現場に設置したカメラで確認しながら重機を用いて遠隔操作で作業を実施している。高温溶融物の状況が変化する中での作業には、作業員の知識・経験に基づく判断が重要であり、効率的に技能伝承を進める上で実作業の指標化や熟練技能者のスキル・ノウハウを形式知することが難しいといったことが課題となっていた。
※:金属を製錬した時に出る副産物。
□スラグ分離作業におけるデータの可視化を実現、AIが作業者に向けた要点を提示することで作業の効率化・均質性の向上を見込む
上記課題の解決に向け、エクサウィザーズと日本製鉄はスラグ分離作業における重機操業デジタル化プロジェクトを進めている。このたび、同取り組みの一環として「exaBase ロボティクス」を用いて重機操業における熟練作業の技能伝承を実現するデータ解析基盤を構築し、東日本製鉄所君津地区において検証を開始した。これにより、重機操業においてこれまでデジタル化できていなかった様々なデータの可視化を実現するとともに、作業における熟練要素の解析を行うことで、勤続10年以上のオペレーターに現れる操業技術を明確にすることができた。また同時に、新人オペレーターにおいても熟練オペレーターと同様の操業が行えるようにAIが作業者に向けた要点を提示することで補佐するソフトウェアを敷設したため、今後、同作業の効率化および均質性の向上が期待される。
【データ解析概要】
①センサデータ :重機の操業位置、速度等
制御板の操作情報と重機先端のリアルタイムな位置を取得するセンサによって、オペレーターによる操作信号と重機の位置変動を取得し、作業傾向を解析
②動画データ :スラグ分離作業の状況、溶融物の状態等
操業エリアに取り付けられたカメラから得られた画像データにより、スラグ分離状況を解析
③操業情報 :処理日時、作業者情報等
各操業ごとの担当者、実施日時、対象作業難度を上記データに紐付け、統合的に解析を実施
【exaBase ロボティクス 概要】
「exaBase ロボティクス」は、AIプラットフォーム「exaBase」のロボット向けAIとして、対象物の画像データ、現場機器・ロボット制御データやシミュレータ生成データ等、様々なマルチモーダルデータを活用して工程の自動化・最適化を可能にするロボットAIソリューションである。単純作業の代替や熟練者の動作再現等、様々なシーンで活用することができる。(画像)
【活用例】
1.不定形物の把持
野菜・魚等の形に個体差があり一定ではない食品や反射・透明性のある物体の把持が可能
2.粉体秤量
多品種の粉体の高精度での測りとりを実現
3.熟練者の動作再現
研磨・研削・重機操作等、熟練の作業者の動作の見える化とロボットによる自動化を実現
※exaBaseはエクサウィザーズの登録商標
ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000108.000030192.html