STマイクロエレクトロニクスは、AIアルゴリズムの実行に最適なデジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)とMEMSセンサを1チップに集積したインテリジェント・センサ・プロセッシング・ユニット(ISPU)を発表した。
MEMSセンサとAI機能を統合する同製品は、システム・イン・パッケージ(SiP)と比べて小型かつ低消費電力(最大80%削減)で、エッジAIを実現することができる。スマート・センサを搭載した革新的な製品によるセンシング、処理、操作が実現し、テクノロジーと物理世界が融合する「オンライフ時代」の実現に貢献する。
オンライフ時代においては、コネクテッドな技術が人々の暮らしを絶えずサポートする。オンラインとオフラインの境目が消え、自然で透明性の高いインタラクションを実現するとともに、オンライン / オフライン間をシームレスに移行することができる。STのISPUは、高度な処理機能を、日常生活を支えるセンサに取り込み、エッジ周辺ではなく、エッジ内で処理を行うことにより、オンライフ時代の実現に貢献するという。
ISPUは、「Power consumption(消費電力)」、「Packaging(パッケージング)」、「Performance(性能)」、「Price(価格)」という4つのPで表される重要なメリットを提供する。ST独自の超低消費電力DSPは、広く使用されているC言語によるプログラミングが可能。また、量子化AIセンサにより、フル・ビットから1ビット精度のニューラル・ネットワークに対応するため、慣性データの分析によるアクティビティ認識や異常検知などにおいて、優れた精度と効率を実現するとのこと。
技術情報
ST独自のDSPは、C言語でプログラミングできる拡張された32bit RISCプロセッサ。チップの設計段階において、専用の命令やハードウェア・コンポーネントを拡張している。また、フル精度浮動小数点ユニット、高速4段パイプライン、シングル・サイクルの16bit乗算器を備え、16bit可変長命令に対応する。割り込み応答はスプライト方式の4サイクル。MEMSセンサとDSPを統合したISPUは、標準パッケージ(3 x 2.5 x 0.83mm)で提供される。STの従来MEMSセンサ製品とピン配置互換性があるため、迅速なアップグレードが可能である。
また、MEMSセンサとDSPの集積により、消費電力を大幅に削減できる。STの試算では、センサ・フュージョン・アプリケーションにおいてSiPと比べて5~6倍の低消費電力化が可能。また、RUNモードでは、2~3倍の低消費電力化が可能であるという。
ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001215.000001337.html