新成病院がGravioを活用した「徘徊検知ソリューション」を導入

アステリア(株)は、同社製品AI搭載IoT統合エッジウェア「Gravio(グラヴィオ)」の販売パートナーである(株)デンセツ工業が提供する「顔認証AIカメラ 搭載 Gravio Enterprise AI Edition」を活用した「徘徊検知ソリューション」を、(一社)児玉報謝会 新成病院が導入したと発表した。

▮「Gravio」を導入した背景、効果
 新成病院は鹿児島県の総合病院として外来から入院まで、新型コロナ対応を含めた様々な医療ニーズに対応する地域医療を展開している。診療科目が幅広いことから、一部の認知症や、譫妄(せんもう)※1状態にある入院患者の無断外出や病院内の徘徊が発生するなど、患者を見守る業務や徘徊患者の確保等が医療スタッフのリソースを圧迫する要因になっていた。
 そこで、新成病院はこの課題を解決するため、患者の行動検知の自動化を検討した結果、AI顔認証ソリューションや各種センサの統合管理がノーコードで導入できるGravioに着目。九州・沖縄エリアで電気設備や防犯カメラの設置・保守を手がけるデンセツ工業が構築した「徘徊検知ソリューション」の導入を決定した。

「徘徊検知ソリューション」は、院内に設置された顔認証AIカメラ(2台)とIoTセンサ(2個)が入院患者を24時間常時見守る体制を構築。認知症患者の徘徊や譫妄(せんもう)による異常行動、無断外出等を検知すると、看護師のスマートフォンにLINEで即時通知されるとともに、スタッフステーションに設置されたパトライトから警報が発出される。
 顔認証AIカメラは正面入口と通用口の2か所に設置し入院患者の外出を検知、徘徊の可能性がある入院患者の顔写真の画像を予め登録しておくことで人物特定が可能。
 また、院内の階段2か所にGravioの人感センサを設置し、夜間の階段利用を検知することで徘徊や無断外出を早期に発見。患者を見守る業務が自動化されることにより、職員は患者の外出や徘徊の可能性を常に気に掛ける必要がなくなり、業務の効率化に寄与するとともに、患者やその家族への安心安全を提供している。
 また、Gravioはエッジコンピューティング※2技術を用いることで、収集した大容量のデータをクラウドに転送せずに処理が可能。このため、予め登録する顔画像を含めて、院内に設置したカメラが撮影した画像は職員のパソコン上でエッジ処理が実行され、クラウドを介した処理に比べて個人情報漏洩リスクの大幅低減を実現する。
 ソリューション構築にも予めセットされたプログラムや、搭載された学習済みAIの画像推論モデルを利用し、短期間でシステムを構築。データ収集や画像解析の仕組みなどの各種設定はノーコード※3で操作ができることから、プログラミング知識のない職員でも運用が可能となり、AIとIoTセンサを病院独自の環境にあわせて設置したソリューションを構築することが可能である。
 このため、「徘徊検知ソリューション」だけではなく、待合室にも人数検知のAIカメラやCO2センサなどのIoTを導入し、3密の回避や患者にとって安心できる環境の構築を実現している。さらに、夜間の職員の入館の際にも顔認証AIカメラを使うことで、鍵解錠の手間を大幅に削減した。
 今後、新成病院ではGravioの機能をさらに有効活用して、提供するサービスの質をより一層向上させる方針であるという。

※1:突然発生する精神機能の障害。時間や場所がわからなくなり、注意力や思考力が低下する。
※2:小さなエッジサーバーを複数配置し、データ処理の速度や能力を高める技術。
※3:ソースコードを書かなくてもソフトウェアやアプリ等の開発ができる仕組み。

ニュースリリース(asteria):https://www.asteria.com/jp/news/press/2022/02/03_01.php