デクセリアルズ、部品実装に好適な形状加工異方性導電膜(ACF)を製品化

 デクセリアルズ(株)は、特殊な形状にレイアウトされた端子でも効率的な実装を実現する「形状加工異方性導電膜(ACF)」を開発し、製品化した。
 本製品は、端子のレイアウトが直線状ではないカメラモジュールや、各種センサモジュールなどの回路接続用途に適しており、すでにモバイルIT機器での採用が始まっている。

同社の異方性導電膜(ACF)は、接着と対向回路の導通、隣接回路間の絶縁が一度におこなえるフィルム状の接合材料。フラットパネルディスプレイへのICチップ実装に広く使われるとともに、近年はカメラモジュールやタッチパネル、センサモジュールなどの回路接続にも用途を広げている。

《モバイルIT機器等の高密度な部品実装における課題と形状加工異方性導電膜(ACF)》
 現在、スマートフォンに代表されるモバイルIT機器は多機能化が進み、カメラの多眼化や測距センサー、顔認証モジュールなどの多くの部品が搭載されるため、部品密度が向上している。これら多数の部品を基板に実装して回路を接続するにはスペースを有効に活用する必要があり、従来のように端子を直線状に並べるのではなく、四角く配置する、上下二列に配置するなどの工夫が取り入れられている。

 さらにこのような端子が直線状でない部品を通常の直線状のACFで実装する際、ACFを大きく貼り付けて全面貼りで実装すると、端子以外の箇所にも熱や圧力がかかり部品にダメージが加わってしまうことがある。一方で、端子レイアウトにあわせて必要な個所にのみ細いACFを用いると、角度や位置を複数回変えて貼り付ける必要があり、顧客の製造工程での効率が課題となっていた。

 このたび同社が開発した「形状加工異方性導電膜(ACF)」は、これらの課題を解決するべく、実装する形に合わせてACFの形状を加工した製品である。それぞれ独立した個片やロの字など内側が閉じた形状、中央部のACFを無くした二列の形状に加工することで、特殊なレイアウトの端子の効率的な実装が可能となる。(画像)

 本製品は、ディスプレイ向けACFで世界シェアNo.1※1の実績を持つ同社が長年培ってきたACFに関する知見や接着に関する技術を用いて、同じ形状パターンを連続的かつ正確に形成する技術を開発し、製品化を実現した。また、ACFの加工形状を精密にコントロールすることで最細0.5mm幅まで加工できるため、実装部品の形状の自由度向上や、さらなる高密度実装の実現による機器の多機能化、高機能化に貢献する。

《形状加工異方性導電膜(ACF)の詳細》
■製品名
 形状加工異方性導電膜(ACF)

■特長
・端子のレイアウトや基板の形状にあわせてACFを加工することで、効率的な実装を実現
 高密度実装が求められる各種モジュールの特殊な端子レイアウトにあわせて、ACFを加工。多様な形での実装が可能であるため、効率的かつ実装時の部品へのダメージを最小限に抑えながら実装可能。

・最細で0.5mm幅まで加工可能、微細なレイアウトの端子の回路接続にも対応可能
 本製品の最細箇所の幅は0.5mmまで対応可能。現在の通常のACF(直線状のACF)の最細スリット幅と同様の幅であり、微細な箇所の回路接続にも対応可能。

・ロの字型など、中抜き加工も可能
 周囲のACFがない個片やロの字など内側が閉じた中抜き加工をした形状、中央部のACFを排除した二列の形状への加工も可能。お客さまの部品形状や用途に合わせて自在にACFを加工することができるため、実装部品の形状の自由度向上や、さらなる高密度実装の実現による機器の多機能化、高機能化に貢献する。

※1 株式会社富士キメラ総研発行「2021ディスプレイ関連市場の現状と将来展望」による、大型および中小型ディスプレイ向けACFの合計の2020年の金額シェア。

ニュースリリースサイト(dexerials):https://www.dexerials.jp/news/2021/news21047.html