STマイクロエレクトロニクスは、IOTA財団の分散型台帳技術(DLT)とインフラストラクチャに変革をもたらすChrysalisネットワークのアップグレードに伴い、STM32マイクロコントローラ(マイコン)用のソフトウェア拡張パッケージ「X-CUBE-IOTA1」のアップデートを発表した。
IOTA Cライブラリが統合された同パッケージは、すでに開発および検証が完了し、STM32マイコン用のソフトウェア開発エコシステム「STM32Cube」の拡張パッケージとして提供されているとのこと。
STM32Cube開発エコシステムには、ロー・レベルおよびミドルウェアのソフトウェアを1つに統合したライブラリ、およびSTM32マイコンの初期化コード自動生成ツール「STM32Cube MX」が含まれている。また、今回アップデートされたX-CUBE-IOTA1を含め、100を超えるソフトウェア拡張パッケージが提供されており、進化を続ける開発エコシステムとして、さまざまなアプリケーションに対応するソフトウェアが積極的に追加されている。
X-CUBE-IOTA1には、IOTAに特化したミドルウェアとサンプル実装が含まれているため、さまざまな機能を高度に集積した高効率のSTM32マイコンを活用し、IOTA DLTの最新Chrysalisアップグレードを利用してトランザクションを処理するスマートなIoT機器を構築することができるという。
Tangleとも呼ばれるIOTA DLTは、データの改竄を防止するセキュアな分散型データベースである。IOTA財団によると、新しいChrysalisでは、従来型のIOTA実装と比較して、電力効率が60%改善されている。この高効率を実現するために、同財団ではアトミック・トランザクションを使用するようにプロトコルをアップグレードした。
これにより、アカウント残高全体の更新が必要な「アカウント・ベース・モデル」よりも効率的にステート変更を登録することができる。アトミック・トランザクションでは、データ・サイズを従来の3500バイト / トランザクションからわずか275バイト / トランザクションまで低減することが可能。
また、「tip」選択アルゴリズムが改善され、より高速なトランザクションの検証および同期を行うことができる。IOTA財団によると、ビットコインのトランザクション1回で消費される電力で、6億回のトランザクションを実行することができるとのこと。
最新バージョンのX-CUBE-IOTA1は、IoT端末向けの開発ボード「B-L4S5I-IOT01A Discovery キット」で動作する。同ボードは、超低消費電力STM32L4+マイコンを搭載し、ボード上のWi-Fiインタフェース経由でインターネットに接続。X-CUBE-IOTA1は、STM32 Cryptolibの高度に最適化された堅牢なセキュリティ・アルゴリズムを利用しており、以下を備えている。
・以下に対応するミドルウェア・ライブラリ
– Tangleとやり取りするIOTAクライアントAPI
– 暗号化、ハッシュ、メッセージ認証、電子署名のためのSTM32暗号化ライブラリ
– Transport Layer Security(MbedTLS)
– FreeRTOS
– Wi-Fi管理
・ボード上のモーション・センサと環境センサにアクセスするための完全なドライバ
X-CUBE-IOTA1は、STのウェブサイトより入手可能。
* STM32は、STMicroelectronics International NVもしくはEUおよび / またはその他の地域における関連会社の登録商標および / または未登録商標。STM32は米国特許商標庁に登録されている。
ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001159.000001337.html