シリコン・ベースのゲート・ドライバとGaN パワー・トランジスタを集積したSiPの新製品

STマイクロエレクトロニクスは、シリコン・ベースのハーフブリッジ・ゲート・ドライバと、2つのGaN(窒化ガリウム)パワー・トラジスタを集積した世界初のシステム・イン・パッケージ(SiP)「MasterGaN®」の新製品「MasterGaN4」を発表した。
同製品は、225mΩのオン抵抗(RDS(on))を持つ2つの対称型650V耐圧GaN(窒化ガリウム)パワー・トランジスタ、ゲート・ドライバ、および保護回路を集積し、最大200Wの高効率電力変換アプリケーションの設計を簡略化するとのこと。

MasterGaN4は、ワイド・バンドギャップ材料であるGaNを使用した設計において、ゲート制御や回路レイアウトといった複雑な課題を解決し、設計の簡略化に貢献する。入力電圧範囲は3.3V~15Vで、ホール効果センサや、マイクロコントローラ、DSP、FPGAなどのCMOS製品に接続して、直接制御することができる。
また、GaNパワー・トランジスタの優れたスイッチング性能によって実現する高い動作周波数や、熱損失の少ない高効率の電力変換により、小型の磁性部品やヒートシンクを採用することができる。そのため、電源やチャージャ、アダプタなどの小型・軽量化が可能。MasterGaN4は、対称型ハーフ・ブリッジ・トポロジや、アクティブ・クランプ・フライバック、アクティブ・クランプ・フォワードなどのソフトスイッチング・トポロジに最適な製品という。

4.75V~9.5Vの広範な電源電圧に対応しているため、既存の電源レールと簡単に接続することができる。ゲート・ドライバのインターロックや、ローサイド / ハイサイドの減電圧ロックアウト(UVLO)、過熱保護といった保護回路も内蔵しているため、さらなる設計の簡略化も可能。専用のシャットダウン端子も備える。
また、MasterGaN4用の開発ボード「EVALMASTERGAN4」も提供されている。単一または相補型の駆動信号を使用する同開発ボードには、MasterGaN4の駆動に必要なあらゆる機能が含まれており、プログラム可能なデッドタイム・ジェネレータも搭載されている。EVALMASTERGAN4を使用することで、個別の入力信号またはPWM信号の供給、外部ブートストラップ・ダイオードの挿入、およびロジック電源とゲート・ドライバ電源の分離が可能になり、ピーク電流モードのトポロジに必要なローサイド・シャント抵抗も使用できるため、優れた柔軟性を得ることができるとしている。

MasterGaN4は現在量産中で、低電圧パッドの沿面距離が2mmを超える高電圧アプリケーションに最適なGQFNパッケージ(9 x 9 x 1mm)で提供される。単価は、1000個購入時に約5.99ドル。EVALMASTERGAN4ボードの単価は、約87.00ドル。

ニュースリリースサイト(ST): https://newsroom.st.com/ja/media-center/press-item.html/n4343.html