新日本無線(株)は、車載ECU(※2)での電磁波ノイズ耐性(EMI耐性)が強く要求される各種センサのアナログ信号処理に向けて、業界最高水準のEMI耐性を備えた単電源動作可能な車載用2/4回路入りオペアンプ NJM2904B/NJM2902Bを開発した。
業界標準であるオペアンプNJM2904/NJM2902の汎用性は継承しながらEMI耐性を大きく改善した。
ボディ系からパワートレインまでのあらゆる車載ECU設計にて、設計手戻りによるリスク低減、EMC設計工数の削減、部品置き換え時のリスク低減など、幅広く設計品質の向上に貢献するという。
※1 2021年1月、新日本無線調べ
※2 ECU : Electronic Control Unit(電子制御ユニット)
〔背景〕
車載ECUでオペアンプを使用する場合、その動作帯域を超える外来電磁ノイズ(EMI)が侵入すると、出力電圧が予期せぬ変動を起こすことが有り、これがECUの誤動作につながる。
ノイズ耐性の評価は、一般的に車両開発の最終段階で実施されることが多く、そこで問題が発覚すると、解析から対策まで、ECUのパターン設計や搭載部品選定にまで設計手戻りが発生する可能性があり、設計工数に大きなインパクトとなる。車両の多機能化により搭載ECUの数が増加する一方で、携帯電話、スマホ、通信機能を備えた電子機器等の増加により、電磁ノイズ環境は非常に過酷となっており、EMI耐性の高いオペアンプに対する需要はますます高くなっているという。
〔特長〕
1.入力端子に加え、電源端子のEMI耐性も強化
オペアンプへのEMI侵入経路は一般には、入力端子のEMI耐性が脆弱とされており、入力端子のみにEMI対策を施した製品は存在した。しかしながらワイヤハーネスに重畳されたノイズがアンプの電源端子経由で侵入してしまうようなケースを想定すると、十分とは言えない。
新日本無線では、オペアンプ内部回路の各ステージへのEMIノイズ侵入経路と回路動作への影響、誤動作に至るメカニズムなど徹底的な解析に基づき、各ステージに最適なEMI対策を施した。その結果、入力端子に加え、電源端子のEMI耐性についても業界最高水準にまで高めることに成功した。
IC内部での回路的対策であるため、チップレイアウトの影響や組立条件の影響を受けにくく、安定したEMI耐性を提供し、ノイズ評価後の設計手戻りリスクを低減するとのこと。
2. IEC 62132-4準拠の評価下で部品単体として最高水準EMI耐性を実現
オペアンプの用途は様々で、同じオペアンプが様々な電気、電子機器に搭載される。このとき、それぞれの状態によって要求されるEMC規格が異なるため、源流であるオペアンプ単体のEMI耐性を適切に比較/評価しておくことが極めて重要となる。
NJM2904B/NJM2902B は、国際規格IEC 62132-4※3、およびJEITA規格ED-5008※4に準拠した適切な基準に基づいて比較/評価を実施の上、業界最高水準であることを確認しており、新規設計から部品置き換え検討まで、安心して使用できるという。
※3 IEC 62132-4:半導体EMC(イミュニティ)試験方法の国際規格IEC 62132シリーズの1つ。IEC 62132-4はDPI法(Direct Power Injection Method:直接電力注入法)と呼ばれ、容量性結合でIC端子に電力注入し、ICが正常動作する限界電力を測定することでイミュニティ性能評価を行う試験。
※4 ED-5008:JEITA規格、半導体EMC性能等価性評価法。半導体のEMC性能差を評価する規格で、評価方法はIEC 62132-4に準ずる。
ニュースリリースサイト(新日本無線):
https://www.njr.co.jp/news/2021/semi_20210125-NJM2904B-NJM2902B.html