STマイクロエレクトロニクスは、3V~60V、300mAの小型の同期整流式DC-DC降圧コンバータ「L7983」を発表した。同製品は、柔軟かつ動的なモード選択によりノイズに敏感なアプリケーションに対応し、軽負荷時の効率を最大限に高めるという。
STの革新的な技術によって設計されたL7983は、ローサイドのパワーMOSFETを制御して、スイッチング周波数が一定の低ノイズ・モード(LNM)、または低消費電力モード(LCM)で動作させることができる。低消費電力モードでは効率を最大化しつつ、低負荷または待機負荷で電力を供給。モードの選択には外部ピンを使用し、アプリケーションによって動的に制御できるほか、ハイまたはローに固定してあらかじめ設定することも可能。
L7983は入力電圧範囲が広く、12Vおよび24Vの産業用バスにおいて、安全マージンを十分に確保した動作が可能。また、バッテリ駆動機器にも適しており、産業機器のフェイルセーフ・システム、分散型インテリジェント・ノード、生活家電、ロボット、通信機器のほか、利便性に優れた低ノイズ・モードを活用する精密検知アプリケーションで使用できるとのこと。
L7983は、高い最大入力電圧により、堅牢性と信頼性に優れた性能が実現する。また、200kHz~2MHzの幅広いスイッチング周波数範囲により、柔軟な設計が可能。さらに、オプションのスペクトラム拡散ディザリングにより、電磁干渉(EMI)を最小限に抑えることができる。暗電流は10µAで、システムの消費電力への影響がきわめて小さく、外部イネーブル・ピンによりシャットダウン・モードでの消費電流をわずか2.3µAに低減する。
その他、外部クロックへのパワー・シーケンスと同期をサポートする機能も備えている。内蔵の安全および保護機能には、ソフト・スタート、過熱保護、パルス・バイ・パルス検知による電流制限、過電圧保護、入力電圧に応じて調整可能な減電圧ロックアウト(UVLO)などがある。また、補正回路も集積されているため、設計を簡略化して部材コストの削減が可能という。
現在、 L7983PU33R(固定出力電圧 3.3V)、L7983PU50R(固定出力電圧 5.0V)、およびL7983PUR(出力電圧調整可)の3品種が提供されている。それぞれに対応する評価ボードであるSTEVAL-L7983V33(L7983PU33R)、STEVAL-L7983V50(L7983PU50R)、およびSTEVAL-L7983ADJ(L7983PUR)も提供されており、製品の設計期間短縮に貢献するとしている。
L7983は現在量産中で、DFN10パッケージ(3 x 3mm)で提供される。単価は、1000個購入時に約1.00ドル。
ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001114.000001337.html