国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)とトヨタ自動車(株)は製造現場を支える無線システムの安定化技術の実験に成功し、“止まらないライン”を実現した。
〔画像:無線環境のリアルタイム可視化技術の実験イメージ(右)と可視化画面(左)〕
“止まらないライン”は、無線の可視化によって登録外の端末の持込みを検出し、計画外の無線の混雑を抑制することと、それでも発生してしまう突発的な干渉を異種システム協調制御によって回避することで実現できるとして、今回、これらの技術を2か所の稼働中のトヨタ自動車の工場において、それぞれ実証したという。
・トヨタ自動車高岡工場における実証: NICTが開発した無線環境のリアルタイム可視化技術の検証を、実際に稼働中の組立ラインで実施し、製造ラインの無線システムに影響を及ぼす前に登録外端末を検出できることを確認した。
・トヨタ自動車元町工場における実証: NICTが開発した異なる無線通信システム間の協調制御によって安定した無線通信を可能にするSRF無線プラットフォームの検証を実施した。
その結果、無線の混雑度に応じて適切な通信経路を確立するなど、本プラットフォームの有効性を確認することができたとのこと。
今後、トヨタ自動車では、製造現場での無線システムの適切な管理のため、本可視化技術を他の工場にも順次導入していく予定。NICTは、トヨタ自動車の他の工場でも本可視化技術の実証実験を継続するとともに、SRFプラットフォームの研究開発を推進し、工場において無線システムの安定化技術の実用化を目指すとしている。
※SRF無線プラットフォームの研究開発の一部は、NICTが総務省から受託した「電波資源拡大のための研究開発(JPJ000254)」における委託研究「狭空間における周波数稠密利用のための周波数有効利用技術の研究開発」により実施。
プレスリリースサイト(NICT):https://www.nict.go.jp/press/2020/11/25-1.html