ON Semi、エネルギー効率を重視するモータ開発キットを発表

オン・セミコンダクターは、1kW未満から10kWを超えるアプリケーションに向けて、より効率的なモータ制御ソリューション開発を促進する、先進的で柔軟なモータ開発キットを発表した。

先進国が発電・消費する電力の半分以上を占めるのが電気モータ。これらの大部分はAC誘導モータであり、平均効率はわずか44% である。効率を向上させるために、モータドライブの設計者は、これらのタイプや他のタイプのモータがすべての負荷条件下でどのように動作するかを理解し、変動する条件をインテリジェントに補正する必要がある。オン・セミコンダクターのモータ開発キットは、エネルギー使用の改善における緊急のニーズに対応するという。

このモータ開発キット(Motor Development Kit、MDK)は、ユニバーサルコントローラボード(Universal Controller Board、UCB)に接続される、数多くのパワーボードの1つで構成される。パワーボードは、高圧集積モジュールから低圧ディスクリートMOSFETまで、オン・セミコンダクターのさまざまなモータ駆動用インバーターソリューションを具現化している。UCBは、任意のパワーボードとインタフェースする共通の制御プラットフォームで、さまざまなタイプのモータ、およびさまざまな出力レベルでの代替のモータ制御技術を評価できるとのこと。

インテリジェントなモータ制御には、柔軟でプログラマブルな手法が必要である。UCBは、ザイリンクス社(Xilinx,Inc.)のZynq®-7000SoCファミリをベースとしている。この強力なデバイスは、2つのArm® Cortex™-A9プロセッサコアとFPGAファブリックを集積し、ソフトウェアとハードウェア構成の最適な組み合わせを提供する。また、このボードには、10チャネルの差動ADC、12のPWMチャネル、および構成可能な多数のデジタルペリフェラルが搭載されている。通信ポートには、USB、JTAG、UART、ギガビットイーサネットPHYなどがある。

効率的なモータ制御は、オン・セミコンダクターが最も注力する分野の一つ。同社は、豊富な経験とディスクリートデバイス、インテリジェントパワーモジュール(Intelligent Power Module、IPM)、トランスファーモールドパワーインテグレーテッドモジュール(Transfer Mold Power Integrate Module、TM PIM)の大きなポートフォリオを生かすことで、効率を向上させている。MDKは、その専門知識と技術を結集して、電気モータを利用するあらゆるアプリケーションで、より優れたエネルギー効率を実現するソリューションの迅速な開発を可能にするという。

オン・セミコンダクターのMDKは、可変速モータ・インバータソリューションを評価するための「すぐに使える」エクスペリエンスを提供する。これを可能にするためにMDKはモジュール型エコシステムとして構成されおり、それにはUCBと、クラス最高のパワーコンポーネントを使用して開発された多数のパワー評価ボードが含まれている。ソフトウェア開発のサポートは、Vivado® Design Suite for High-Level Synthesisという形態でザイリンクス社から提供される。UCBは、ザイリンクス社のオープンソースプロジェクトであるPYNQを介しPythonを使用してプログラムすることもできるとのこと。

MDKは現在、2つのモータパワーボードをサポートしている。ひとつは、最大1kWのモータ駆動に適したSECO-1KW-MCTRL-GEVB、もうひとつは最大4kWのモータ駆動に適したSECO-MDK-4KW-65SMP31-GEVB。これらのパワーボードはいずれもオン・セミコンダクターのIPM技術を利用しており、2020年第4四半期に利用可能になる。オン・セミコンダクターのTM PIMテクノロジーを用いた、最大10kWのモータを駆動するように設計されたモータパワーボードは、2021年第1四半期に販売予定。今後さらなるパワーボードと拡張された設計サポートがMDKエコシステムに追加される計画だとしている。

プレスリリースサイト(onsemiconductor):
https://www.onsemi.jp/PowerSolutions/newsItem.do?article=1000825