3Dビジョンセンサを用いたフラットケーブル高速挿入ロボットシステムの受注を開始

クラボウ 環境メカトロニクス事業部は、同社のロボット用高速3DビジョンセンサKURASENSE(クラセンス)を用いた「フラットケーブル高速挿入ロボットシステム」を開発し、2020年10月19日から受注を開始する。
本システムによって、従来はロボットへの置き換えが困難であった、家電製品、ゲーム機、タブレット・パソコンなどの電子機器の組立て製造工程におけるフラットケーブルの挿入作業の自動化が可能となり、生産性向上や品質向上に貢献するとともに、製造現場での非接触を実現するソリューションを提供するという。

<クラセンスとは>高速な3Dスキャンと認識技術によって人間の「目」と「脳」の役割を果たし、不定形物を見たままに認識できるクラボウの高速3Dビジョンセンサおよびそのシステム

1.開発の経緯
近年、ロボットによる工程の自動化ニーズが高まっているが、ケーブルや電線など形状の定まらない対象物を扱う作業工程においては、ロボットによる自動化が進んでいないのが現状である。現在の一般的なセンサは、硬く形状の決まった定形物しか認識ができず、形状が一定ではなく曲がったりねじれたりするケーブルなどの柔軟物や不定形物は認識できないため、それらをロボットにハンドリングさせることは困難だった。クラボウはこの問題を解決すべく、外観検査装置などの開発で培った高速画像処理技術と3D計測技術を生かして、柔軟物・不定形物の認識を可能とする3DビジョンセンサKURASENSEの開発を進め、2020年にケーブル認識用に特化したKurasense-C100を完成させた。
そしてこの度、3DビジョンセンサKurasense-C100に、産業用多関節ロボットおよび、コネクタ挿入などの作業時の力加減を制御する力覚センサを組み合わせることで、コネクタへフラットケーブルを高速かつ正確に挿入するという従来のロボットにはできなかった作業を実現するシステムを開発し、受注を開始したとのこと。

2.フラットケーブル高速挿入システムの概要
本システムは、高度な力覚制御技術を持つセイコーエプソン(株)(以下エプソン)の協力体制のもと開発したもので、当社の3DビジョンセンサKurasense-C100と、エプソン製の産業用多関節ロボット(C4-A601S)および力覚センサ(S250N)で構成されている。Kurasense-C100がフラットケーブルの三次元形状を高速に計測し、ロボットに把持位置および挿入ポジションを指示。ロボットハンドでケーブルを把持後、力覚センサによりミクロン単位の誤差を微調整し、フラットケーブルをコネクタへ挿入。また、力覚センサが挿入後の半嵌合(不完全なはまり具合)を検出することで導電不良等を防ぎ、製品品質を向上させる。従来の3Dビジョンセンサには必要であった事前の形状登録(パターンマッチング)を必要とせず、KURASENSEの独自アルゴリズム処理によって、形の定まらないフラットケーブルの形状を瞬時に認識して把持し、ロボットに的確な作業指示を出すことができるという。

【主な特長】
① 高速・正確なケーブルハンドリングが可能
高速なKURASENSEのビジョンセンサと高精度なエプソン製力覚センサの組み合わせにより、向きや形状が変化するフラットケーブルをわずか 2.2秒(注※)ほどで掴み高速でコネクタへ挿入できる。
注※ 特定のテスト条件下での、ロボットがフラットケーブル検出位置へ移動してからハンドで把持するまでの時間
② 事前の3Dモデル登録(パターンマッチング)が不要
従来の3Dビジョンセンサはパターンマッチング方式だが、KURASENSEは独自のアルゴリズム処理で3Dモデルの登録が不要。
③ 対象物の色の識別が可能
カラーセンサを使用しているため、ケーブルの色によって異なるハンドリングを行うなどの制御が可能。

3.販売価格
システム販売価格 2,000万円~(税抜) ※仕様やシステム構成については別途お問い合わせのこと
【最小システム構成例】
・ケーブル認識用高速3Dビジョンセンサ Kurasense-C100:1台
・産業用ロボットおよびロボットハンド:2台
・力覚センサ:1台
・安全柵、ワークホルダー:一式

4.販売目標
2024年度:10億円

5.今後の展開
現在、フラットケーブルの他にも、電線、ハーネス、コネクタ付きケーブル、光ファイバーなど多様な線状物のハンドリングに関する自動化の引合いを受けており、また、電子機器の小型化に伴いより緻密で高精度な作業内容が求められており、今後はそれらに対応するシステム開発に取り組む。ウィズコロナの環境下、自動車や家電、電子機器など幅広い業界でのケーブル配線作業の自動化へ貢献を進めると同時に、海外市場への販売展開も予定しているとのこと。

ニュースリリースサイト(kurabo):https://www.kurabo.co.jp/news/newsrelease/20201015_992.html