STマイクロエレクトロニクスは、超高性能32bitマイクロコントローラ(マイコン)STM32H7シリーズに業界最速レベルの550MHzで動作する新製品を追加した。今回発表されたSTM32H723/733、STM32H725/735、およびSTM32H730バリュー・ラインはFlashメモリを内蔵し、コストが重視される製品で洗練されたグラフィックスやAI、および最先端のサイバー・プロテクションといったハイエンドの機能を実現するという。
新しいSTM32H7マイコンはシングル・コアArm® Cortex®-M7を搭載し、業界最速レベルの550MHzで動作する。組込みアプリケーション向けに最大1MBのFlashメモリを搭載し、コストが重視される製品の高性能化と低コスト化に貢献。
また、処理性能とセキュリティ処理性能を落とすことなく外部メモリへのアクセスが可能。フレキシブル・メモリ・コントローラ(FMC)やOcto-SPIメモリ・インタフェースなどを搭載しているため、内部メモリと外部メモリのどちらで実行した場合でも、ベンチマークテストで2778CoreMark®(1) と1177DMIPSという優れた性能を実現する。これにより、高解像度 / フルカラーのグラフィックスや動画など、大きなフレーム・バッファが必要で大量のメモリを消費するアプリケーションにおいて、より実体験に近い洗練されたグラフィックスを実現可能。
さらに、フルカラーのユーザ・インタフェース開発に役立つツールとして、STM32Cube開発エコシステムの拡張パッケージ(X-CUBE-TOUCHGFX)として提供される組込みGUI(グラフィック・ユーザ・インタフェース)開発ツール「TouchGFX」およびプログラミング・ツールの「TouchGFX Designer」を無償で利用することができるとのこと。
STM32Cube開発エコシステムでは、AI技術で動作する先進的な機能の開発も可能。無償で提供される組込みAI開発ツール「STM32Cube.AI(X-CUBE-AI)」により、マイコンへのニューラル・ネットワークの移植や、パラレル・カメラ・インタフェースによるコンピュータ・ビジョンを活用することができる。STM32H7をさまざまなセンサと接続することで、機械学習技術を活用した状態モニタリングなどのソリューションを実現できるため、より高い付加価値を備えた製品開発が可能。
STM32*ファミリ向けのセキュリティ・エコシステムである「STM32Trust」には、強化されたサイバー・プロテクション機能が含まれており、On-The-Fly復号機能(OTFDEC)やセキュア・ファームウェア・インストール(SFI)などをサポートしている。OTFDECは、暗号化されたコードを外部メモリから実行できる技術。また、SFIにより、メーカーは世界中どこからでも標準製品をオーダーし、暗号化されたコードのみでプログラミングすることができる。これら2つのソリューションは、Flashメモリに保存された機器メーカーのソフトウェアIPの効果的な保護に貢献する。
さらに、セキュア・ブート、対称暗号(ハードウェア・ライブラリまたはソフトウェア・ライブラリを使用)、暗号鍵のプロビジョニングなど、すぐに使用できるセキュリティ機能も用意されている。ソフトウェア・ライブラリを使用した非対称暗号も利用可能で。暗号化処理は真乱数発生器およびAES-128 / -192 / -256用ハードウェア・アクセラレータにより実行され、GCMとCCM(2)、トリプルDES、ハッシュ・アルゴリズム(MD5 / SHA-1 / SHA-2)に対応しているという。
新しいSTM32H7マイコンには、熱損失による制約を克服し、最大125°Cで動作する内蔵スイッチング電源(SMPS)など、産業機器に大きなメリットを提供する重要な機能も搭載。また、全メモリのエラー訂正コード(ECC)をサポ-トしており、耐障害性にも優れている。
また、新しいSTM32H7マイコンを使用した開発をすぐに始められるよう、STM32の開発エコシステムもアップデートされた。STM32H735G-DK Discoveryボードにより柔軟性の高い試作開発・検証ができるほか、STM32 Nucleo開発ボード「NUCLEO-H723ZG」では、試作モデルや概念実証モデルを、コストを抑えつつ短期間で開発可能。最新のSTM32H7マイコンもSTM32Cube開発エコシステムに対応しており、開発ツールや組込みソフトウェアのほか、グラフィック・ライブラリ、通信用スタック、およびサンプル・アプリケーション(モータ制御、AI、先進的なセキュリティ機能など)といったミドルウェアを活用することができる。
Arm® Keil社およびIAR Systems社から提供されているアプリケーション / セキュリティ開発用のソフトウェア・ツールにより、さらなる機能を実現することも可能とのこと。
ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001089.000001337.html